[hikaliのゲーム論](10) 建築論、組織論 物語解析解説(後編part6)


 こんばんわ! 管理人のhikaliです。
 な、ながい……、圧倒的に長いと書いていてひるみそうになるのですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか(^_^;

 いや、静の物語解析だけで、こんなに書くことがあるのかとびっくりしているのですが、ん……、でもこれって氷山の一角だよねえ……、と思ってしまうところが恐ろしいところ……。
 ちょっとコンパクトに行きたいところですよね、そうですよねと、自分会議してしまうのですが、楽しめているでしょうか、分かりにくいところはないでしょうか。

 前回までで、物語解析の根本的な理念や、どういうものであるのかを説明したつもりなのですが、お分かりいただけましたでしょうか? 今回は、その基点をつかみつつも、じゃあどうやって実際に展開していくの? という話になるかと思います。
 いま、今回の回を構想しながら、遠いなあ、説明すること多いなあと打ちひしがれているのですが、ん……、どうなるかなあと思っている次第だったりします(^_^;

 さて、おそろしく長く、複雑な話をするにあたって、概要を分かりやすく説明するために建築の話をたとえにしますが、
 1.たぶん構造を構築する方法論の話になって(設計図の描き方)、
 2.その方法論は民法と一緒という話になって(現実の抽象化論は法律が最上の宝庫)、
 3.具体的に図面を作ってみる(実践のアプトプットの作り方、模型とか)、
 4.それがどんな物語になるか想像してみる(模型の検証)、

 物語にわくわくできたら完成!

 となるのですが、遠いw
 どんだけ説明しなければ、そこに辿りつけないのだろうと、怖くなってきます。
 一冊ぐらいの本になりそうな気さえしますw

 絶望的に遠いのですね。
 まずは設計図のほうか、と書くのですが、すでにお見せしたとおり、わたしはランダムをうまく組み合わせていく人なので、じゃあ、それって、どう組んでいくの? という話になっていくのですが、多分ここが理解し難いと思うのです。
 基礎的にランダムであって、やってきたランダム要素をうまいこと組み上げるだけなのですが、この「うまいこと組み上げる」の部分がなかなかに説明が難しい。
 これは、あるべき建築物ってどういうものなの? という部分が説明が難しいからです。
 ここで話そうとしているのが、いろいろな人の意見を取り入れて作るショッピングモールの作り方とはどういうものか? という話だからです。

 多くの建築家はどう説明すると思いますか?
 そこへ踏み込む前に、もうちょっと基礎的なところから入ってみましょう。


 ■建築論から見る、物語。

 それって、ひとつの建築論的な考え方になるのですよね、という話から。
 微妙にロジカルにはねじれているので、理解し難いはずです。
 それは、この建築論が、基本的には人の流れというか、どう動くか、どう発想するかを想像することから始まるというところから始まるからです。建物の話なのに、それよりもそこに訪れる人が快適に過ごすにはどうしたらいいか、と建物の話じゃない部分から話を始めなければならないのです。
 おじいちゃんにとっての快適と、幼児にとっての快適は違いますよね。
 おじいちゃん快適論と、幼児快適論から始まるのです。
 これって全然違いそうですよね。
 そうすると、訪れる人によって、どんな人に訪れて欲しいかによって、フォーカスするポイントが全く違ってくるということになります。

 このへんの説明が一番難しいのですが(^_^; 一言で言えば、興味の喚起の仕方で、客層を絞って、その喚起で集めた層に最適化する、なのですが、例えば渋谷ヒカリエがどういう層をターゲットにあの建物を作ったかと同じなのです。
 要するに、あなたの為に作りました!
 と、どこにアピールするかの問題になりますし、これはどう建築するかのはなしではあるのですが、それよりもどうマーケティングするかの話のほうが重要そうです。それによってある程度客層を絞って、そこに最適化するのです。

 ビジネス的には当たり前な話に思えてきます。
 ですが、これを物語解析的に考えてみると、動の物語解析と、静の物語解析の重要な部分にまたがっていて、非常に説明が難しい。ここが一番難しい部分なので、ここさえ抜けてしまえば、何とかなりそうなのですが、抜けられるかな。
 わかっている人のために書いてしまえば、建築物である静の物語解析は、実は説明していない、動の物語解析から導き出されるものなのですよ(^_^; つまり、マスターリング論から、シナリオ論が導き出されているのですね。
 でも、動は、静を理解しないと理解できない。
 ここが悩ましいところです。
 だから、まずは静から入るのですが。


 ■組織論から考えてみる、シナリオ構成

 人が入ってくるってどういうことでしょうか。
 建築論の話で構いません。
 お客さんが参加してくる。
 この概念が難しいのです。

 そのために建築物はどうなっているべきか、飛躍しますが、組織はどうなっているべきか。これが物語解析が扱っている根本的な問題なのです。
 動と静を使えば、これは容易です。
 エネルギーを、ポテンシャルを最大化できる。
 いま、ひたすらにその方法を、ひたすらに話しているのです。
 それは、ひたすらに支配は最大公倍数に陥る、統治は最小公倍数に到達する、という話になるのですが、それはひたすらに、ストーリーは倒すべき最大の敵であって、ゲームはよって立つ正義だという話なのですが、どうすればゲームは機能するのか。ここに頼るのはあまりにもみっともないのですが、どうすれば美しいサッカーが実現できるのか、この話なのです。

 基本的には、ある要素が持っているポテンシャルをどうやって引き出して、どう貢献させるかの問題なのですが、これは、いらだちを持って言えば、非常に簡単なのです。支配を捨てればいいのです。つまり、ストーリーを捨てればいいのです。
 ストーリーを捨てた途端、参加者全員の利害関係の調整の問題になる。
 それは、自分ができるから、多分そういうのですが、単なる簡単なパズルになる。
 呆れるほど簡単な話なる。

 ここで少し遠回りをしてPBMに戻るのですが、PBMというのは、参加してくださる方は全てお客様で、お金を払ってもらっている。誰一人としてお帰り願うとかはありえないわけです。その参加して下さった方全てで最高の物語を作らなければならない。
 この感覚は、旅館の女将の感覚に近いと以前書いたのですが、それで分かりにくければ、バスガイトさんの感覚、ワークショップの主催者の感覚に近いと書くと、だいぶ理解しやすいでしょうか。

 これは大袈裟に言うと統治の感覚です。
 女将さんの立場になればわかりやすいのですが、参加してくださる方の全経験に対する責任は自分にあります。それはwebサービスであれば、結構限定的なアクセス数とかに反応が限られそうですが、PBMの場合は、シナリオに対する感情的な反応が反ってくる。
 うまくいけば物語に熱狂してくれる。
 どうすれば、その熱狂を生み出せるのか、という話しなのです。

 少なくともお客さんにこうしてくれと、命令することは出来ません。
 そして参加してくるのはランダムなプレイヤー。
 では、こういうお客さんを受け止める旅館はどんなふうになっているでしょうか。いろいろな姿が思いつくかもしれません。風情があるかも知れませんし、また逆にテーマパークのようになっているかも知れません。
 どんな従業員を配せばいいでしょうか?

 賑やかで元気な従業員? それとも気の利く従業員?
 すこしトラブル解決に長けた従業員がいてもいいかも知れません。

 おっと、気づきましたか(笑)。
 これは、どのようなNPC(ノンプレイヤーキャラクター)をシナリオで用意すればいいかの検討をしているのです。
 なんとかシナリオ論のさわりの部分にたどり着くことができました。


 ■プレイヤーが描かれたいのは、自分の活躍

 さて、旅館においてプレイヤーであるお客さんをもてなすためには、どんな従業員がいればいいか、に想像を巡らせることができているでしょうか。
 料理長、は、いたほうがよさそうですね。
 年配の女中さん、は、いたほうが便利かもしれません。
 若くハキハキした女中さん、は、活気をもたらしてくれそうです。
 力仕事ができる番頭さん、は、何かと重宝します。
 冷静沈着で端正な顔つきの若旦那、は、女性ファンが付きそうです。
 こうやって考えていくと、どんどんと旅館で働く人々の姿が描けるようになり、そこにこんなお客さんが来たら、こんなことになるかも、なんてことが想像できるようになってきます。
 猛者なら、熱海温泉鶴屋の繁盛記、などと企画を立て始める状況ですが、ちょっと待った!
 なにか忘れています!
 そうそう、これはゲームの話をしているのです。

 PBMをやっていた時に、エライ人に言われたのはこうでした。
 キミね、プレイヤーさん、つまりお金を払ってくれるお客さんは、キミの文章を読みたいんじゃないんだよ。キミの文章とかはどうでもいいんだよ。それにお金を払っているわけじゃないんだよ。
 いったい、彼らは何お金を払っていると思う?

 これは、何度か書いたのでわかるかもですが、自分の活躍にお金を払っているのです。

 この感覚は難しいのですが、たぶん180度ぐらい意識が違います。
 プレイヤーは自分が活躍する姿にお金を払っていて、それ以外の、ストーリー展開とか、文章力とかには興味が無いのです。どうやって活躍させるかが命なのです。これ以外は意味が無いというか、お客さんは興味が無い。
 ここはすごく分水嶺になる部分で、考えて欲しいポイントなので繰り返しますが、ゲームを考える際に、このお客さんが活躍する姿を、お客さんが描けるか、を考慮しなければならないのです。なにかナチスがどうやって国民を熱狂させたかみたいでちょっと嫌なのですが、参加したら自分は活躍できそうだ見えた瞬間に、とても多くのエネルギーを投じはじめるのです。

 たとえ、毎月原稿用紙100枚近いお話を送りつけても、隅から隅まで丹念に読み、字が小さすぎて(小さくしないと入らないから)目がチカチカするんだけど、それでも面白くて読んでしまいます、などと愚痴を言いながらも、考えぬいた次回のアクションを、B5用紙に細かい字でびっしりと書いて送ってくれたりします。
 それは、

 1.考えぬいたアクションに対して、考えぬいたリアクションが返ってくるから
 2.そこに自分の活躍が、そこそこの文章力で描かれているから
 3.その百枚のお話の中に、次の活躍へのヒントが大量に散りばめられているから

 なのです。

 つまりこうなのです。
 シナリオには、お客さんが活躍できるシチュエーションが入っていなければならない。出来ればそれがわかりやすいほうがいい。そして、お客さんの活躍により物語が動くほうがいい。自分が何かをしたことによって、良い方向に物語が動くほうがいい。しかし、1アクションで解決してしまっては困る(回数があるから)。予想通りに展開しつつも、意外な方向にも動いたほうがいい(そうしないと飽きられるから)。
 そしてお客さんはランダム的に参加してくる。
 はい(笑)、とても難しい課題のように見えますよね(^_^;
 今、その恐ろしく難しい話をしているのです。
 究極的には、ゲーム感という言葉に行き立つのですが、ゲーム感、難しいですよねw ゲームセンスと行っても良いかも知れません。これは一言で言えば、この情報を出せば、このへんにたどり着きそうという、お客さん側を想像する能力なのですが、ゲーム感というのは基本的には、どうプレイするかな? という想像力なのです。

 しかし、こうは言えるでしょう。
 予定されたストーリーがあるってことは、お客さんの自由な発想を奪うことになりますし、お客さんの活躍で物語が動いていくということを実現しそうにありません。お客さんは、どうすれば活躍できるだろうということを考えるのが楽しくて、そして考えぬいたアクションに、納得の行く(頭に描いていたのとは違っていても)結果が返され、もちろん物語が大きく動けば熱狂し始めるのです。
 もし、マスターの思い通りの展開にしかならないのであれば、もはやお客さんは参加する意義を失ってしまいます。お客さんはわたしの書いたストーリーが読みたいのではなく、参加者全員で紡いだ物語が読みたいのです。
 リーダーシップを持って、みんなこうしよう!
 と言うよりも、
 わー、みんな! こんなことになっちゃったよ! みんな助けて!
 のほうが活躍できそう、というのはわかるでしょうか。

 なんとなくシナリオのあるべき姿が見えてきたところで(^_^; 今回はこの辺にしておきましょう。次回は、またすこし横道にそれるのですが、活躍とは何かということを掘り下げてみましょう。そこから、あるべきシナリオに辿り着きたいなあ……。

 そこからようやっと、静の物語解析にたどり着くってなんだよ! という話になるのですが(笑)、こんだけ難しいのですw たどり着いてしまえば簡単なんです。たどり着いてしまった途端に、全く別の地平が見えるのです。それはゲームという地平です。すべてがプラスサムになっていく世界です。
 そこに行くのは、とても簡単です。

 ストーリーを捨てればいいのです。
 次回は、そのプラスサムの世界になっていく世界の話をしましょう。



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