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                           第十号  2001/11/25 
   「 物 語 解 析 」 
    〜 要素による解析基礎 「舞台」 概念編(中) 〜 

 「今号を要約!」 「積極的閉鎖」と「消極的閉鎖」を上手く使いましょう! 

 「積極的閉鎖」と「消極的閉鎖」は舞台における初歩の初歩。でも、これを 
 知っているだけで、とても広い視界が広がりますよ! 

  - - - -< 今号の中身をピックアップ! > - - - - - - - - - - - - - - - - - 
 《 本文 》                          《ページ& 
                                 落書き欄》 
                                 (^_^; 

   01:はじめに                       :[ 01 ] 
     ――ごめんなさい、間が空いてしまいました……。 

   02:要素による解析ってなに???             :[ 02 ] 
     ――これまで、どんなお話をしてきたか。 

   03:解析術講座 「要素による解析 「舞台」概念編(中)」 :[ 03 ] 
    03-01:「外部との接点」                 :[ 03-01 ] 
        ――物語の設計をする上で大切です 
    03-02:「「外部との接点」と「出現の可能性」の違い」   :[ 03-02 ] 
        ――「行ける」と「来る」の違い 
    03-03:「「積極的閉鎖」と「消極的閉鎖」」        :[ 03-03 ] 
        ――「行ける」を考えるより「行けない」を考える 
    03-04:「積極的閉鎖」                  :[ 03-04 ] 
        ――積極的閉鎖は乗り越えることを期待する 
    03-05:「消極的閉鎖」                  :[ 03-05 ] 
        ――消極的閉鎖は乗り越えることを期待しない 
    03-06:「まとめ」                    :[ 03-06 ] 
        ――まとめです 

   04:諸所雑感 「【番外編】千と千尋の神隠し解析」     :[ 04 ] 
     ――夢中になってしまったのは、時代の転機を感じて 
       しまったから(←なにか格好良いですね…… ^^;) 

   05:おわりに                       :[ 05 ] 
     ――今後について。 

 ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ http://www.seikou-toutei.com/nmk/index.html ■


 ● 01 ● はじめに                      :[ 01 ] 
  ̄ ̄ ̄ ̄ 
  こんばんわ! 物語解析のhikaliです。 
  私事に忙しく、前号よりずいぶん間が空いてしまいました(^^; 
 すみません。インターネットにつなげない状況が続き、頼みの綱の 
 PDAも不安定に……。どうすんだ? と思っているさなか、ようやく 
 我が家にもADSLがやってきました! もう、大丈夫です。安心です。 
 速いですよぉ。フレッツで、本当に世界が変わります(^^; 

 さて、間があいてしまった分、書きたくても書けないうっぷんを 
 晴すべく、充電どころかびりびり有余るエネルギーを放電しなが 
 ら、物語解析、再開したいと思います。 

  ……と、勢い剰ってしまったせいなのでしょうか。今回は、前 
 号お送りしますとお伝えした「要素による解析」の「外部との接 
 点」と「状況の変化」のうちの、「外部との接点」のみをお送り 
 する事になってしまいました。お送りする量が膨大になってし 
 まった為、分割する判断をしました。ご了承下さいませ。こんな 
 事では、いつになったら基礎編が終るのかと私自身もあきれてし 
 まうのですが、その分、内容充実の、ボリューム満点でお送りし 
 たいと思っておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 

  それでは、物語解析、始めましょう! 
  今回は「外部との接点」。とりわけ、少々ミステリアスなネー 
 ミングだけれども、舞台における基礎の基礎、積極的閉鎖と消極 
 的閉鎖についてお送りします。きっとこれを知っているだけでも、 
 「物語」というものに対して、深い理解をすることが出来ると思 
 いますよ! 


 ● 02 ● 要素による解析ってなに???            :[ 02 ] 
  ̄ ̄ ̄ ̄ 
  これまでの物語解析では、物語は「人物」「舞台」「道具」 
 「決まり事(背景)」の四つに分かれ、その四つの働きを調べる 
 ことにより、物語をかなり正確に把握できるというお話をしてき 
 ました。 
  「人物」に関しては、第六号、第七号を通して、「舞台」の 
 「内部にあるもの」に関しては第八号で、大雑把ではありますが、 
 お話ししました。今回は、「舞台」の「外部との接点」。とりわ 
 け、積極的閉鎖と消極的閉鎖についてお話したいと思います。 


 ● 03 ● 解析術講座 「要素による解析 「舞台」概念編」   :[ 03 ] 
  ̄ ̄ ̄ ̄ 
 ○ 03 ○ 「外部との接点」 ○ 01 ○              :[ 03-01 ] 

  舞台の内部が主に「人物」「道具」との関係線を扱うものだと 
 したら、この外部との接点は「舞台」「決まり事(背景)」のよ 
 うなより広い関係を扱います。順を追って解説をして行くのです 
 が、この外部との接点が物語を設計する上で大きなウエイトを占 
 めることがしばしばあります。この部分は観客側の発想ではなく、 
 作り手の発想になってしまい、なかなか気付かない所です。本当 
 に物語の設計という感覚が一番強く感じられる部分ですよ。 

 ○ 03 ○ 「外部との接点」と「出現の可能性」の違い ○ 02 ○  :[ 03-02 ] 

  外部との接点は、その舞台にいる人物がどこかへ移動する際に 
 重要になってきます。例えば、古い屋敷を考えるとき、玄関ホー 
 ルからは様々な部屋へ行くことが出来ます。食堂へ行けたり、応 
 接間へ行けたり、客室へ行けたり、遊戯室へも行けるかも知れま 
 せんし、二階にも行けるかも知れません。これは外部との接点が 
 多いことになります。これに対してトイレは接点が一つしかない 
 はずです。分かるでしょうか。 
  外部との接点というとどうしても第八号でお話した「出現の可 
 能性」をイメージを重ねてしまうかもしれません。ですが、この 
 「出現の可能性」、「居間には、父も母も、弟も妹も兄も姉も 
 やってくる」という、舞台の内部の性質です。居間における外部 
 との接点は、「玄関ホールへ行ける」というものです。根本的に 
 違うものなのです。 

 ○ 03 ○ 「積極的閉鎖」と「消極的閉鎖」 ○ 03 ○       :[ 03-03 ] 

  先ほどの例もそうなのですが舞台同士の接点と言うとどうして 
 も、道や橋のような、交通路がまず第一に思いつくかも知れませ 
 ん。ですが、よく考えてみると実は舞台にとっては、どこへ行け 
 るかよりもどこへ行けないかが重要になってきます。 
  もし、あなたがUFOを持っていれば、世界中のどこへでも行 
 くことが出来るはずです。アメリカへも、イギリスへも、もしか 
 したら火星、アンドロメダ星雲にだって行けるかも知れません。 
 このとき舞台の接点は無限にあると考えられます。あなたの行く 
 先を決めるのは舞台ではなく、あなた自身の気持ちのはずです。 
 舞台の外部との接点を考える必要がなくなるのが分かるでしょう 
 か。UFOなどというと特殊な状況に思えてしまいますが、これ 
 を長い休みを貰ってお金もあるというあなたに置き換えてみると、 
 実はそれほど大差がないのです。 

  ですから、どこへ行けるかで、物語を設計するのではなく、ど 
 こへ行けないかで設計をすることにしましょう。もしくはどこへ 
 行くのは困難であるかを考えることにしましょう。この概念を 
 「閉鎖」と呼ぶことにします。閉鎖だけでは、本当に行けない気 
 になってしまいますので、「障害」とも呼ぶことにします。つま 
 り行けない接点を閉鎖(閉鎖点の方がいいでしょうか)、行きに 
 くい接点を障害と呼ぶことにします。 
  何となくそれっぽい名前になったではないでしょうか(^^; 

  閉鎖(障害)には、大きく分けて二つの種類があります。積極 
 的閉鎖(障害)と消極的閉鎖(障害)です。 

  積極的閉鎖は主に登場人物に乗り越える事を期待している閉鎖 
 です。例えば宇宙海賊が頻繁に現れるから宇宙港から宇宙船が出 
 発できないというのは、これに当たります。物語に積極的に働き 
 かけようとするため、これを積極的閉鎖と呼びます。 

  これに対して消極的閉鎖は、主人公に乗り越える事を期待して 
 いない閉鎖です。飛行中の飛行船や、嵐に呑まれた湖上の古城は 
 これに当たります。物語に働きかけるどころか、事実上の物語世 
 界の果てを作ってしまうため、これを消極的閉鎖と呼びます。 

  この積極的・消極的閉鎖はどちらも力強く物語を構築します。 
  例外が多々あるので(例えば、消極的閉鎖を乗り越えた人物は 
 神秘的、もしくは伝説的印象を与えるなどあります。ちなみにこ 
 れは、幽霊・冒険・神話・伝説モノの作品でしばしば使われます。 
 天空の城ラピュタのシータがそうですね。^^;)、一概には言え 
 ないのですが、なるほどそんなものかと思っていただければ幸い 
 です。 

 ○ 03 ○ 積極的閉鎖 ○ 04 ○                 :[ 03-04 ] 

  積極的閉鎖は、ありとあらゆる種類の要素との関係で発生します。 
  「人物による積極的閉鎖」「道具による積極的閉鎖」「舞台に 
 よる積極的閉鎖」「決まり事(背景)による積極的閉鎖」の四種 
 類があるのですが、大抵はこの四種類のミックスによって起こり、 
 またそのような積極的閉鎖の方が物語に広がりを持たせる事が出 
 来ます。物語の中心となる主人公たちの活躍は、「何によって解 
 決したか」にありますが、その解決法を考えるには、どのような 
 要素とのつながりによって閉鎖が起こっているを知ることが問題 
 になります。何となく物語の核心を作っているような気になりま 
 すよね。 

  例えば宇宙海賊が出るという先ほどの例を考えると、これは宇 
 宙海賊という組織(人物の要素です)によってのみ発生している 
 閉鎖と考えがちです。ですが、宇宙港からの航路が閉鎖されてい 
 るのは、宇宙港と宇宙海賊の関係だけで起こっているのでしょう 
 か。 

  例えば「道具」。もしかすると宇宙海賊が怖い理由は、海賊が 
 その星系内で最も早い宇宙船を持っているからかも知れません。 
 このときの主人公の解決方法は、その船より速い船を作る事かも 
 知れませんし、もしくは海賊を油断させて海賊船を壊してしまう 
 事かも知れません。主人公たちの中の技術屋が船をチェーンアップ 
 して、高速戦を挑むなんていうのは、なかなかわくわくしますよね。 

  例えば「舞台」。もしかすると宇宙海賊が怖い理由は彼らがそ 
 の星系にたくさんのアジトを持っていて、神出鬼没だからかも知 
 れません。このときの主人公の解決方法は、そのアジトの情報を 
 入手する事かも知れませんし、もしくはアジトへの輸送路を絶つ 
 事かも知れません。スパイもののような情報戦や、大包囲作戦は 
 華々しい印象を与える解決法です。 

  例えば「決まり事(背景)」。もしかすると宇宙海賊が怖い理 
 由は、その星系に「商船には武器を積んではいけない」という法 
 律があるからかも知れません。このときの主人公の解決方法は、 
 法を犯して武器を積んだり、星系内の政治家に話しかけて法律を 
 変える事かも知れません。星系全てに白い目で見られながら戦う 
 ことや、星系内の人々の意識を変える名演説はとても壮大なス 
 ケールですし、ヒーローに相応しい解決法です。 

  忘れては行けないですね(^^; 「人物」。宇宙海賊が怖い理 
 由が、海賊が終戦を迎えた戦争で活躍した特殊部隊の生き残りで 
 あるからかも知れません。このときの主人公の解決方法は、彼ら 
 を壊滅させる事かも知れませんし、もしくは組織を説得する事か 
 も知れません。もちろん戦いのシーンはクライマックスですし、 
 説得だって人の心に深く響く解決方法なのです。 

  さて、一通り話しました。お気づきかも知れませんが、今挙げ 
 た「宇宙海賊が怖い理由」は全て平行して存在する事ができます。 
 つまり、「高速船を持っていて、星系内にたくさんのアジトを 
 持っていて、特殊部隊の生き残りである海賊がのさばっているの 
 に、星系内には商船は武器を積んでは行けないという法律がある」 
 という事は、何の問題もなく成り立ちます。かなり絶望的な状況 
 に感じてしまいますが(^^; それだけ主人公たちが活躍する機 
 会が増えるのです。「技術屋が高速勝負をする傍らで、アジトに 
 関する情報戦が繰り広げられ、星系内の人々の意識改革を成し遂 
 げ、特殊部隊を説得しつつも、分離した海賊の過激派とクライ 
 マックスにドッグファイトをする」とは、なんてエンターテイメ 
 ント性に満ちあふれた物語でしょうか(^^; 

  こんな風に、積極的閉鎖の技術を使う際には、様々な問題を 
 ミックスする事によって、広がりのある物語を構築するのが、黄 
 金律になります。どのような閉鎖(障害)を組み合わせるか、そ 
 れを他の要素と絡めて(人物関係など)一つの物語としてまとめ 
 切るかが腕の見せ所となります。 

  どうでしょうか。宇宙港に四つの積極的な閉鎖をするというだ 
 け、物語にこれほど広がりが出るのです。あちこちを積極的に閉 
 鎖したら物凄いことになってしまいそうですが、実はそれをどこ 
 かで見たことはないでしょう。お気付きかも知れませんが、実は 
 この技法はしばばコンピュータゲームの世界で見る事が出来ます。 
 どこか一カ所を閉鎖してしまい、そこを突破しないと先へ進めな 
 いから、それの閉鎖の原因を取り除く、というやり方はコン 
 ピュータの世界に親和性が強いのでしょう。ですがもちろん、 
 この技術は物語全般に通用する技術なのです。 

 ○ 03 ○ 消極的閉鎖 ○ 05 ○                 :[ 03-05 ] 

  さて、積極的閉鎖の華々しさに比べると、少々見劣りのする消 
 極的閉鎖ですが、もちろんこの技術も同じぐらいに重要です。 

  消極的閉鎖は主に、世界の果てを作ってしまうことで、その内 
 部に注目を向け、閉ざされていながらも豊かな世界を構築するた 
 めの技術です。これまで何度も例に挙げたタイタニックはその一 
 例ですし、ミステリでよくある○○邸の殺人などはまさにそれに 
 当たります。 
  このような消極的閉鎖で物語を作るときは、内部の豊かさが重 
 要になります。消極的に閉鎖すると言うことは、物語のシーンが 
 基本的にその舞台に拘束されてしまいますし、その閉鎖によって 
 物語が豊かにならないからです。ですから、その拘束した舞台を 
 豊かで魅力的にして、物語に面白さを与えなければなりません。 

  何だかこのようにお話ししてしまうと、消極的閉鎖が悪い技術 
 のように思えてきますよね。ですが、ここで重要なのは、この消 
 極的閉鎖が「人物」が舞台の豊かさを掘り起こす正当性を保証す 
 るという点なのです。通常なら決して気付かないような事に対し 
 て気付く理由を、消極的閉鎖は与えて上げるのです。分かります 
 か? 舞台は、決して自分の内包している(存在の可能性も含め 
 て)要素の豊かさ、面白さの全てを物語の中で叫び続ける事が出 
 来ないのです。だからメッセンジャーである主人公を、その中に 
 消極的に閉鎖させるのです。 

  分かりにくいですね(^^; 例を挙げましょう。 
  宇宙港と軌道エレベーターを考えて見ましょう。軌道エレベー 
 ターはとても分かりにくい例で申し訳ないのですが、無重力の宇 
 宙までのびる途方もなく巨大な建造物です。地球でしたら 
 全長300キロはゆうに超えるぐらいになるとされている塔のよ 
 うなものなのですが、たいがいのSFではこれが人類最大の建造 
 物になり、また様々な種類の人々が行き交い、数多くのドラマが 
 繰り広げられる、中世ヨーロッパの大交易港のような舞台です。 
  この宇宙港と軌道エレベーターで消極的閉鎖をしましょう。 

  こんなのはどうでしょうか。 
 「他の星からやってきたが、その星は重力が強すぎて、渡航者は 
 地表に降りることが出来ない。しかも、運が悪いことに彼の到着 
 後しばらくして宇宙海賊が頻繁に現れるようになり、宇宙港が閉 
 鎖されてしまった。もちろん、彼は単なる商人であるから、海賊 
 退治なんてまっぴらごめん。宇宙港の閉鎖は一年以上続くかも知 
 れない。困った……」 
  うーん、どうなるんでしょう(^_^; 
  ちょっと彼の行動を想像してみましょう。 

  きっと彼は一年以上閉じ込められればたちまちお金が底をつい 
 てしまいますから、商売をしようと、軌道エレベーターのあちこ 
 ちを移動するんじゃないかなって思います。最初は旅行気分なん 
 だけれども、だんだんと軌道エレベーター内の地区の特色が分 
 かってくる。例えば宇宙港に近い重力の低いところでは「エア 
 ボール」という球技が誰もを熱中させていて、もう少し地表に近 
 い方では綿毛のようにふわふわと飛ぶ生物を飼うことが流行って 
 いる。それでもって、その下の階層では殴り合いの喧嘩をセッ 
 ティングしてくれる合法喧嘩屋が儲かっていて、地表に近い寂れ 
 た一角で違法のドラックの工場があることを知ってしまう。そん 
 な事をしているうちに色々な階層の人たちの中に友人を作り、そ 
 してある時、海賊の財宝がこの軌道エレベーターのどこかに隠さ 
 れている事を知って……、 

  きりがないですね(^^; ですが、何となく分かるのではない 
 でしょうか。これまで見向きもしなかった軌道エレベーターに多 
 種多様な地区があると、消極的閉鎖をしてはじめて気付くのです。 
 読者の目を「小惑星帯をアクロバット飛行をする宇宙船」「ガス 
 惑星での大気制動」「ブラックホールに挑む調査船」から引離し、 
 「軌道エレベーター」に釘付けにするのです。 
  もしあなたが、軌道エレベーターに消極的閉鎖をされたらどう 
 行動しますか? 

  現実世界でも消極的閉鎖はたくさんあります。 
  例えば、リアル過ぎて申し訳ないのですが、通勤電車。 
  もしかすると立ちながらでもキーボードを打っているのがあな 
 たかも知れません。仕方なく中吊り広告を見たり、本を読んだり、 
 勉強したり、「あ、あいつまたいる」なんて気付くのもあなたで 
 す。そんなとき、きっと消極的閉鎖の中で、色々なものを発見す 
 るのではないでしょうか。 
  確かに通勤電車という舞台は魅力的で豊かだとは言い難いもの 
 があります。ですが、その中でも一時間も二時間も閉ざされてい 
 ればその僅かな魅力の破片に気付くはずです。 
  軌道エレベーターというほとんどの方々が分からないような、 
 「きっと、長いエレベーターのあるビルに違いない」と思えてし 
 まえるような舞台であっても、そこに主人公が消極的に閉鎖され 
 ることによって、観客はその魅力を知ることができるのです。 

  以前、映画タイタニックがテレビで放映されましたけど、まだ 
 見ていなかった方、馬鹿にしていませんでしたか(^_^; 私もそ 
 のクチだったのですけれども、舞台の魅力、伝わりましたよね。 
 あの消極的閉鎖の主役は、確かにタイタニック号だったとは思い 
 ませんか? 

  消極的閉鎖に関してはもっともっと話したいことがあるのです 
 が、この辺にしておきます。ちらっと話しますが、「舞台の規模」 
 「消極的閉鎖以後の動線(それ以前の関係線)」「消極的閉鎖の 
 内部の分割」などなど、今回を書いている間に思いがつのり、思 
 わず書いてしまっては不要だと思って削った部分は多々ありまし 
 た。そのうち特集を組んで消極的閉鎖についてお話をしたいと考 
 えていますので、とりあえずはご容赦くださいませ。 


 ○ 03 ○ まとめ ○ 06 ○                   :[ 03-06 ]  

  さて、またまた尻切れとんぼになってしまいました(^^; 
  今回お送りした、「積極的閉鎖」「消極的閉鎖」はいかがでし 
 たか? 前回に比べれば、なかなか派手な部分ではあるのですが、 
 次回お送りする「状況の変化」のダイナミックさ、ぜひともお伝 
 えしたいなぁ、なんて思います。 

 ● 04 ● 諸所雑感 「【番外編】千と千尋の神隠し解析」    :[ 04 ] 
  ̄ ̄ ̄ ̄ 
 前回、と言いますとかなり前のことになってしまい、本当に申し訳 
 ないのですが、比較的長い間、これに夢中になっておりました(^^; 
 多くの方々に暖かいメッセージを頂き、そうだよな、そうなんです 
 よねと思いつつも(まだ、お返事をお返ししていない方、ごめんな 
 さい。必ずお返しします)、それでも、この解析の印象からなかな 
 か離れられなかったのは、ここにエポックメイキングがあったのか 
 な、と、思ったからです。 

 ここ十年、二十年ぐらいあった物語の紆余曲折に、ついに終止符を 
 打って、これまでが少々かすれてしまうような印象を持ちました。 
 というのは、「物語に参加する」というとても難しすぎると思われ 
 ていた事に、とてつもなく小さな第一歩があって、それが商業的に 
 成功した、つまり、みんなに認められた、というところなのです。 

 ここから始まると、宮崎監督は言ってましたが、確かにそう。 
 でも、本当に作り始めるのは、宮崎さんだけでなく、多くの作り手 
 、そして、これが本質なのですが、「参加することを許された」 
 観客なのだと思います。大胆すぎる言葉のような気もしますけど。 

 何か、古臭い言葉に感じますか? 
 そうですよね。物語の世界は、ずいぶん遅れているのです。 
 この物語解析が、ほんのわずかでも、そういう新しさの助けに 
 なれますように。そのためには、少しぐらい古臭くたって、 
 その良さを勉強しないと! 

 というわけで、感謝に代えて。 
 また次号もがんばるぞ(笑)! 


 ● 05 ● おわりに                      :[ 05 ] 
  ̄ ̄ ̄ ̄ 
  さて、ようやく、今回も、おわりにを書くことが出来ます。 
  今回は、少々間があいてしまった後ろめたさもあって(^^;  
 今後の話を中心に。 

  次号は、「舞台」における「状況の変化」について。 
  動的に変化する舞台という、とてもダイナミックな部分を 
 扱います。これまで映画的なとても派手なシーンはどうやって作 
 られるの? と思ってきた方々、お待たせしました(^^; それは 
 「舞台」の「状況の変化」にその技術があります。 

  次々号は、「舞台編」の総決算。一本の作品をとりあげ、舞台 
 について徹底的に解析を施してみたいと思います。 

  その次からは、「道具編」。比較的、地味なパートですが、 
 これも重要。それから、何回かを超えたのちに、いよいよ終盤、 
 「決まり事(背景)」という物語の世界観に関係する、なんとも 
 大胆で大きな話になって行くわけです。 

  うーん、いつになったら、その文章を書くことが出来るように 
 なるのだろうと思いつつも、気長にお待ち頂ければ幸いです(^^; 

  というわけ、ここまで、お読みくださった方々、本当にありがと 
 うございました。また、次回、お会いしましょう! 

 ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■―― ■ ―― ■ 
                       第十号   2001/11/25 
   「 物 語 解 析 」 
    〜 要素による解析基礎 「舞台」 概念編(中) 〜 

 発行者:hikali 
   文:hikali 

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