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                        特別編集版号   2002/05/12
   「 物 語 解 析 」
    〜 要素による解析基礎 「舞台」 状況の変化編(実例) 〜

  ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■  http://www.seikou-toutei.com/nmk/index.html ■


 ● 01 ● はじめに                      :[ 01 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  こんばんは、物語解析のhikaliです。
  ずいぶんと、お送りするのが遅れてしまってほんとうに申し訳
 ありませんでした(^^; あー、うー、遅れていると思いつつも、
 なかなか手をつけられない状況に、心苦しく思っておりました。
  その分というわけではないのですが、ご希望してくださる方が
 比較的少ないということもあり、パーソナルな内容でお伝えした
 いと思っております。

  最近、物語解析のホームページを更新しました。
  これまで、物語解析を四つのメルマガ発行スタンドで発行して
 おり、その発行スタンド毎に発行を開始した時期が違うため、
 はじめからバックナンバーを読めるのは、melmaのみという弊害が
 あったのですが、これによって少しはみなさんの「便利」に近づ
 けたと思っております。

  ホームページの更新に当たって、hoopsという無料ホームページ
 サービスから、LycosのTripodというサービスに乗り換えをしまし
 た。利便性と運営の着実性というところが主な要因ですが、これに
 よって少しでも、更新が頻繁にできるようになり、お伝えできるこ
 とが増えればいいななんて思っております。

  長々と、面白くないお話をしてしまいましたが、物語解析を始め
 ることにしましょう! すこしでも、みなさんにとって楽しい話で
 あるといいなと思いつつも、お伝えします。物語を創って楽しんで
 いますか? その楽しさをもっと楽しくする機会に、この物語解析
 がなりますように、祈ります。


 ● 02 ● 原因型の状況の変化を使って物語を作ってみよう!   :[ 02 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  もうずっと前の話でお忘れかも知れませんが(^^; 実例をお届
 けします。なかなか、実例をお伝えして、どのように利用して行く
 かという部分に関して、実感をして頂く機会が無く、残念に思って
 おりました。イメージが掴みにくいのではないでしょうか。とても
 特殊で、身体で覚えるようにしか理解をすることは出来ないのでは、
 と心配になります。そこで、例を挙げてみることにしました。
 ちょっと一緒に考えて見て下さいね。

 ○ 飛び込んできたシーン

  さて、突然ですが、飛空艇が山手線上空を飛んでいる事を想像し
 て見て下さい。その飛空艇は都庁の間を通り抜ける位の高度で飛ん
 でおり、さらにめらめらと燃えています。そして、あなたはその中
 にいるのです。
  映画の予告編の映像だと思っていただければ、想像がしやすいと
 思います。突然そんなシーンが現れて、その中に自分がいるのです。
 夢で思いがけないシーンを見てしまうことに似ています。ふっと、
 実例を作ろうとしている私の中に飛び込んできたシーンがこの
 シーンでした。
  どうやら、飛空挺が燃えながら低空飛行をしているらしく、その
 中にあなたがいるようなのです。
  原因が欲しくなりましたか?
  それでしたら、この状況の変化は原因型です(^_^)。
  では、原因は何でしょうか。
  一緒に考えて見て下さいね。そうすれば、きっとこの原因型の状
 況の変化が物語に積極的に影響を与えるものであると実感できると
 思いますよ。

 ○ そう言えば、飛空挺ってなに?

  さて、突然に見せられたシーンを少しずつ解明してゆきましょう。
  このシーンは、原因型の状況の変化であることが分かりました。
  飛空挺、といいますか、飛行機は良く使われる「舞台」であり、
 めらめら燃えていることは「状況が変化」していることを示してい
 るからです。そして、原因が欲しくなりましたよね。
  順を追って考えて行くことにしましょう。

  まず、考えるのは、飛空艇が都心をめらめら燃えながら低空飛行
 をすることというのは異常な状況だということです。めったにみれ
 ない(と言いますか、千年に一度だってないかも)光景です。では、
 この飛空艇という舞台にとって異常でない状況とはどんな状況で
 しょうか。きっとその状態から、何らかの原因があってめらめらと
 燃えながら都庁の間をアクロバット飛行する羽目になってしまった
 のでしょう。

  飛空艇という舞台をよく知る必要があります。
  飛空艇は、湖や河川のような水上から離着陸(離着水かも ^^;)
 する為に造られた飛行機です。私は、飛空艇というと、どうしても
 大型の、ずんぐりしたアンティークなものを想像してしまいます。
 何か、めらめらと燃えそうなおんぼろさを感じてしまいますよね。
  このような飛行機は、サバンナやアマゾンのような滑走路のない
 未開の、そして広い水面のあるところで使用されます。きっと日本
 では使われないでしょうね。中国からでも飛んできたのでしょうか。

  さて、想像できてきましたか? だいぶイメージが固まってきま
 したよね。では、中国から飛んできた事にしましょう。他にあんま
 り使われそうな気がしないからです。
  次に、その中にどんな「人物」がいるか、どんな「道具」がある
 か、どんな「舞台」に分れているかを考えましょう。

  どんな人物が普通は乗っていると思いますか? そうそう忘れて
 いました、あなたもその中に乗っているのですよ。私は中国の未開
 の地から来たということで、何か自然に関係する物を運んできたと
 思いました。何がいいですかね。木材や穀物ではエンターテイメン
 ト性がありませんので、ここはとても面白い中国的な物にしましょ
 う。
  パンダ、なんてどうでしょう!
  何か、すごい物語になってしまいそうですが(^^; まあ、何と
 かなるでしょう。パンダをあなたは運んでいるのです。何故でしょ
 うか。私はさっぱり見当もつかないのですが、自分が悪者になるの
 は何となくいやですから、きっとパンダを守る立場にあるに違いな
 いという事にしましょう。動物保護官か何かでしょうか。何となく
 イメージが湧きます。

  次に、道具。なんたって燃えてしまうわけですから、燃える物が
 必要です。飛空艇は燃料というとてもよく燃える物を積んでいます
 が、燃料に引火しては、あなたが死んでしまいそうですから、別の
 物を考える事にします。
  パンダが乗っているなら、竹は積んでいそうですよね。あとは何
 でしょう。うーん、思いつきません。どうせ燃えるならば、面白い
 燃え方をするものにしましょう。花火! なんてどうでしょうか。
 う〜ん、ほんとにすごいことになりそうです(^^; シリアスなも
 のになりそうだったのが、一気に荒唐無稽なエンターテイメントに
 なってしまいそうです。

  さて、最後に舞台です。なんとなくどんな飛空艇であるか想像が
 ついて来ましたよね。パンダと花火を乗せているのですから、堅苦
 しい飛空艇ではなく、ユニークなサーカスのような組織の飛空艇で
 ある気がしますよね。何となく中国の印象とは違いますが(実際に
 そんな集団はないでしょうし)、まあいいでしょう(^^; 
  ここまでで固まってきた飛空艇のイメージは、「旅回りの見せ物
 集団所有の物で、その集団はその飛空艇で全世界を回っている。飛
 空艇でやってくるほどユニークな集団で、どこへ行っても人気があ
 る」といった辺りでしょうか。
  では、その飛空艇の中に、どのような舞台(というか施設)があ
 るのでしょうか。お金持ちな気がしますから豪勢な応接室がありそ
 う、集団員の個室、調理場、食堂…を作る余裕はなさそうですが、
 せっかくですから飛行中に風に吹かれるシーンがあると見栄えがい
 いですから、見張台のようなものがあることにしましょう。うーん、
 軍事利用されていたものが払下げられたのでしょうか。もちろん、
 操縦席やカーゴはあります。商売道具やパンダ・花火を積むとなる
 と、なかなかぎゅうぎゅう詰めですが、きっと特大の飛空艇なので
 しょう。

 ○ めらめら燃えながら都庁の間をアクロバット飛行

  さて、この飛空艇の通常の光景が見えてきました。では、そこか
 ら、「めらめら燃えながら都庁の間をアクロバット飛行」という異
 常な状況に変化する原因を考えて見ましょう。この異常な状況は三
 つに分解する事ができます。「めらめら燃える」「都心を低空飛行」
 「アクロバット飛行」の三つです。この一つ一つに原因が必要にな
 ります。

  「アクロバット飛行」はとても簡単に原因を見つけることができ
 ます。これは、都心を低空飛行をしていた際に都庁に突っ込み、そ
 の間を抜けなければ墜落してしまうからです。分りやすいと思いま
 す。また、ここから都心で低空飛行をせざるをえない状況であるこ
 とも分ります。好きで低空飛行をしている訳ではないのです。

  次に「都心で低空飛行」という状況へ変化したのは、どのような
 原因があったのでしょうか。この状況はさらに二つに分けて考える
 事が出来ます。つまり「都心を」と「低空飛行」です。都心へやって
 きた原因は薄々分ります。都心で公演があったのでしょう。霞ヶ浦
 あたりに降りるつもりが、何らかの原因で都心へ行く羽目になった
 のです。うーん、どうしましょう……、パンダが瀕死にでもなりま
 しょうか(^^; それで、パンダを救うために病院へ。多摩川に強
 行着水する光景は確かにインパクトがありますし(ほんとうだろう
 か…)、着水するなら低空飛行です。そこまでする必要のあるパン
 ダですから、失われる事が世界的損失になるパンダですよね。知能
 でも持たせて、ついでに喋らせましょう。うーん、荒唐無稽の極み
 に近づいてきました(^^;

  最後に「めらめら燃え」なければなりません。もうすでに花火が
 艇内で盛大に爆発している事が決っていますから、その原因、つま
 り何故花火に引火したかが問題です。きっと誰かが火を点けたので
 しょう。花火のすぐそばに火の気を近づける者は、常識的に考えて
 ないからです。誰が、何故、この飛空艇にそのような悪意を持った
 のでしょうか。これまででた話では、喋るパンダぐらいしか原因が
 見つかりません。喋るパンダを巡る国際的な陰謀(のほほんとした
 陰謀ですが……)でもあるのでしょう。これで、この物語が喋るパ
 ンダを巡るハートウォームストーリーであることが見えてきました。

  さて、「飛空艇がめらめら燃えながら都庁の間をアクロバット飛
 行」の原因を考えてみましたが、振返ってどこから始めたかを思い
 出してみて下さい。いつの間にか、物語の骨格が出来てしまってい
 ます。この喋るパンダの物語は、「飛空艇がめらめら燃えながら都
 庁の間をアクロバット飛行」という状況の変化が、物語に積極的に
 働きかける事によって生れたのですよ。
  分りますか?
  働きかける影響の大きさは千差万別で物語を作ってしまうほどに
 はならないことがほとんどですが、まさにこれこそが原因型の状況
 の変化の利点なのです。

 ○ 原因型を駆使する

  さて、実例を通して、原因型が物語を力強く構築して行く姿が見
 えたかと思います。では、実際に物語を構築する際に、どのように
 この原因型を使えばいいのでしょうか。ちょっと考えて見て下さい
 ね。
  難しいですか? きっと難しいはずです。
  例えば、宮崎アニメを見ると、ほとんど原因型の状況の変化は使
 われていません。パンダの例であったような物語の構築法に通じて
 いないのか、もしくはそれを良しとしないからでしょう。ですが、
 ハリウッド映画の中の、特に荒唐無稽な物語は、とにかくこの原因
 型の状況の変化を、これでもかというくらいに駆使している光景を
 見ることが出来ます。この原因型の状況の変化ほど、派手なシーン
 を作るのに適しているものはないからです。この技術を使わなけれ
 ば、決して都庁の間をすり抜ける飛空艇というシーンを創ることは
 出来ないのです。

  さて、では、ハリウッド映画はどのようにこの原因型を駆使して
 いるのでしょうか。
  例えば、あまり有名でない映画で申し訳ないのですが、ハリウッ
 ド版ゴジラという映画がありました。この物語は、ゴジラという怪
 獣がマンハッタンに上陸したり、地中に逃れたり、卵を生んだりす
 ることに主人公達が振り回されるという物語でした。
  ちょっと分りにくいのですが、この物語は舞台の「状況の変化」
 の塊のような物語なのです。つまり、ゴジラというマンハッタンの
 形すら変えてしまうほどパワフルな「人物」が原因となって、マン
 ハッタンの状況が大幅に変るのです。物語の中でマディソンスク
 ウェアガーデンがクライマックスシーンになるのですが、ゴジラと
 いう原因がなければ到底、世界破滅もののクライマックス舞台とな
 ることは出来ないのです。
  また、アルマゲドンという映画でもこの原因型の状況の変化が多
 用されています。ロシアの宇宙ステーションが爆発するシーンがあ
 のですが、これが起こるのは充分なメンテナンスが到底出来る状況
 ではなかったからですし、作中でも科学的でもっともらしい理由を
 挙げて、宇宙船を困難な状況に持って行こうとします。「原因が用
 意されて、舞台に何かが起って、物語が動く」という形式の典型的
 な例ですよね。

  では、こういう状況の変化はどのように作られるのでしょうか。
  お気づきかも知れませんね(^^; 原因型の状況の変化は物語に
 積極的に働きかけます。つまり「原因を作れ」と物語に要求するの
 です。本質的にストーリーとは全く逆の方向で作られる傾向があり
 ます。こういうと分りやすいかも知れません。「メンテナンスが充
 分でない」から「宇宙ステーションが爆発」というストーリーの方
 向にしたがってこれを作ることはあまりなく、「宇宙ステーション
 を爆発させたい」から「メンテナンス不十分な宇宙ステーション」
 →「ロシアの宇宙ステーション」という風に作られます。
  マンハッタンを崩壊させるにはゴジラにどんな行動をとらせれば
 いいでしょうか。分りますか? この技法を使うハリウッド映画は、
 名実ともに「まず派手なシーンありき」なのですよ。

 ○ 原因型の状況の変化を駆使してみる

  では、ちょっと実演をしてみましょう。技術を駆使というくらい
 ですから、少々難しい「原因型の状況の変化」をしてみる事にして
 みます。「状況の変化によって、複数のストーリーラインをクロス
 させる」というものです。なかなか高度ですよ。なんだかわくわく
 してきませんか?

  とりあえず今回は、先ほどからお話ししてきたパンダの話を使う
 ことにしましょう。せっかくあるのですし、また、まだまだ広がり
 の出そうな物語であるからです。「飛空艇が燃えながらアクロバッ
 ト飛行」から生れたストーリーラインと、また別の状況の変化から
 ストーリーラインを作り、クライマックス近くでストーリーをクロ
 スさせます。すれ違うだけでは面白くありませんので、互いのス
 トーリーラインから重要人物を反対のストーリーラインに移動させ
 ます。テクニカルですよね。想像できますか(^_^; 私もちょっと
 想像がつかないのですが、順を追って行けばなんとかなるでしょう
 (ほんとうかな…)。

 ○ 不足からストーリーラインを作ってみる

  さて、まずパンダのストーリーラインに不足している部分を探し
 ましょう。いくつもの面白さが不足している気がするのですが、致
 命的なものがあります。一つは、日本とあまり関係なさそうな物語
 である点、もう一つは見せ物集団というあまり共感を得にくい人物
 以外が登場しにくいという点です。それにもう一つ、あなたはどう
 やってこの物語に登場するかが、見えてこないのです。せっかくで
 すから、もう一つのストーリーラインで補完する事にします。

  次に、舞台と舞台がクロスするシーンを作り出しましょう。幸い
 にも飛空艇は移動しますので、他の舞台と出会う事が容易に出来ま
 す。どんな舞台がいいですかね。多摩川とクロスする事は分ってい
 ます。着水するからです。でも、ほとんどクライマックスを終えて
 いますし、多摩川はどうやっても盛上がりそうにありません。
  うーん、他にないでしょうか。
  そうだ、都庁がありましたね。確かに間をアクロバット飛行をす
 れば、十分にクロスしています。
  それでは、都庁にしてしまいましょう。

  では、都庁ではどのような状況の変化が起っているのでしょうか。
  普段の光景を想像してみて下さい。お役所です。なんて分りやす
 い(^^; しかも、日本的な光景です。日本に関係してきましたよ。
 都民のためを思って熱く燃える都の職員なんていうのは、共感を抱
 かれやすい人物の筆頭です。消防士、警察官、教師といった職業の
 主人公は親しみやすさでは、抜群ですよね。
  どのような状況の変化を起しましょうか。ふと思いつくのは、火
 事・倒壊・犯罪者が立てこもるなどですが、飛空艇とかぶってしま
 います。パンダとクロスさせるつもりですので、何らかの関係性が
 欲しいところです。どうしましょうか。う〜ん、悩んでしまいます。

  最近の東京都というと元気な都知事さんがいるという印象を抱き
 ますよね。お台場にカジノを造ると何ともエンターテイメント性に
 通じた発案があったりと、わくわくしてしまいます。この路線で行
 きましょう。都庁ですから、堅苦しいお役所のイメージを払拭しよ
 う、誰もやったことのないエネルギッシュな企画を打立てようとい
 うのはどうでしょう。都の職員である主人公が燃えそうな企画です
 よね。
  お、ひらめきました。
  都庁の一部を動物園にしてしまう、なんていうのはどうでしょう!
  親しみがわきますし、ぶっ飛んでいます。パンダにも絡みます。
 映画のCMで、主人公が知事に呼ばれ、
 「重要なプロジェクトがある、君にしか出来ない仕事だ」
 「はい!」
 「新しく動物園を作ろうと思うんだ」
 「はあ、」
 「この都庁舎にだ。ノースタワーの四十階より上を子供も親しめる
 動物園にするために、インド象、キリン、トラ、それとそう、パン
 ダ……」という理不尽な光景で始る映画はなんともユニークなドタ
 バタを予感させるものではないでしょうか。

  さて、ではどのようなシーンで、この都庁動物園は飛空艇とクロ
 スするのでしょうか。容易に想像がつくかと思いますが、動物園が
 開園してしまい、大盛況な状況では、あまり波乱は起りません。飛
 空艇の例で分るかと思いますが、原因型の状況の変化は、変化後が
 面白いのではなく、普通の状況がどんどんと異常になって行く過程
 が面白いのです。ですので、もう動物園が完成してしまった開園後
 は、物語の中に組込むべきではなく、開園をもって物語が終わるの
 が定跡と言っても過言ではないと思います。つまり、開園の準備と
 して続々と動物がやってきてお堅い役所がてんやわんやの大騒ぎに
 なる光景こそが面白いのです。もちろん、チンパンジーは脱走する
 でしょうし、トラは課長の椅子の上で眠っていなければなりません。
 キリンがどうやってあの狭いフロアーにいるかは疑問ですが、子象
 くらいなら迷子になって、食堂の人気者になっていても面白そうで
 す。
  はじめはあまりの突飛さに戸惑っていた職員もだんだんとそのお
 祭のような異常さが楽しくなってきます。あなたはどのようにこの
 物語に関わっているのでしょうか。あなたの勤める会社がその都庁
 動物園のスポンサーの一つだったり、応援に駆けつけたのでしょう
 か。ひょんなことからオラウータンに気に入られて、盗られた重要
 書類を取返そうとしているうちに物語に飲込まれていくなんていう
 のは面白いですよね。

 ○ ストーリーラインのクロス

  さて、クロスしましょう。
  特大の飛空艇が花火を爆発させながら、都庁動物園に突っ込んで
 くるのです。登場人物を互いに移動させます。かなり危険な移動で
 すから、移動する人物に強い動機が必要です。飛空艇→都庁の動機
 は、飛空艇内の危機を救うためというのが分りやすいと思います。
 通信機が壊れてしまっており、飛空艇を救うには広く(TVとか)
 に何か訴えなければならないなんてのは盛上がります。国際的陰謀
 を暴露でもしたらどうでしょうか。
  一方、都庁→飛空艇はどうしましょうか。そうだ、せっかく出て
 きたので、オラウータンに重要書類を盗まれたあなたを使うことに
 しましょう。色々な動物の間を「パス」されていく重要書類を追っか
 けているうちに、屋上まで来てしまう。屋上で、重要書類をくわえ
 たオウムを追いつめながらも、パッと飛立たれてしまったのを追い
 かけて一緒に飛降りる。「あわや!」というシーンですが、ちょう
 どその下を飛空艇が通り過ぎ、そこに着地する。お、なんとか、移
 動できました(^^;

  さて、重要人物が位置的にはクロスしましたが、互いのストーリー
 ラインが互いに影響を与えてはいません。クロスしたからには、そ
 れによって互いのストーリーラインが変化しなければ上手く活かし
 切ったとは言えません。「都庁の間をアクロバット飛行」はクライ
 マックスでしょうから、ここからは収束に向います。つまり、移動
 した重要人物が互いのストーリーラインの収拾をつけるのです。

  飛空艇→都庁の人物の収拾のつけかたは容易に想像がつきます。
 彼(彼女?)は動物の扱いに慣れた人ですから、混乱にあった都庁
 を静めて行きます。つまり、これまで手を焼いていた動物達が彼の
 手に掛ると……、というわけです。

  都庁→飛空艇はどうしましょうか。そうですね、せっかく「重要
 書類」を追っかけていた訳ですから、これが影響を与えることにし
 ましょう。つまり、陰謀を企てていた人が、ふとその重要書類を見
 て、自分たちの陰謀に意味がなかったことを知り、陰謀をあきらめ
 るなんてどうでしょうか。影響を与えましたよね。

  という訳で長くなってしまいましたが、何とか映画になりそうで
 す(^^;
  お疲れさまでした。


 ● 03 ● 無因型の状況の変化を使って物語を作ってみよう!   :[ 03 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  さて、今度は一転して、無因型の状況の変化を使って、物語を
 作ってみましょう。無因型の状況の変化は、伏線を張る必要のない
 状況の変化でした。天候の変化や天災といったものが良く使われ、
 それ以外にもだんだんと混んでくるというようなものが、この無因
 型の状況の変化にあたります。何もないところから、無因型の状況
 の変化を使うことにより、物語を構築してみる過程を通して、この
 状況の変化の理解の助けとなりますように。

 ○ どんな舞台がいいかを選ぶ

  どのような状況の変化がいいでしょうか。
  せっかくですから、映画になりそうな大きな変化にしましょう。
  なかなか真っ白のところから考え出すのは難しいですので、舞台
 を先に決めてしまいます。うーん、どこがいいでしょうか。そうで
 すね、先ほども使った都庁はどうでしょうか。でも、とても大きな
 自然災害(例えば地震とか)が起っても、あまり面白くなりそうに
 ないですよね。では、もうちょっと広げて、東京にしましょう。
 うーん、アバウトですが、誰もが知っている、もしかしたらそのう
 ちの大勢が生活圏にしていれば、こんなに身近に感じることが出来
 る映画はありません。
  では、東京にしましょう。
  つまり、山手線沿線を中心にした東京23区が物語の舞台です。

 ○ 状況の変化を選ぶ

  次に、どんな状況の変化が起るかを考えます。何がいいでしょう
 か。とても広い範囲に大きな影響を与える状況の変化……、地震、
 ……でも面白くなさそうです。もっと大きくなると隕石? ちょっと
 東京が関係なくなってしまいそうです。うーん、豪雪でも降らせま
 しょうか。20メートルぐらい降れば面白そうですが、現実性は……、
 年間降雨量が2000ミリほど(2メートル)ですから、まずあり
 得ません。台風は当り前ですし、津波はあっと言う間に終ってしま
 いますし……。

  こういうときは、どこかで起った事のある大きな天災が東京で
 起ったらと考えてみるときっと上手く行きます(ほんとうだろうか……)。
 そうですね、虫の大群が飛来、……は気持悪いですので却下して、
 海面上昇はゆっくり過ぎるし……、
  そう! 火山はどうでしょうか!
  ベスビオ火山が噴火したり、雲仙普賢岳や、三宅島など、とても
 見慣れた天災ですよね。それが東京で起ったら……、なんて、どき
 どきしてしまいますよね。現実性に関しては……、ちょっと難しい
 かも知れませんが(^^; 平坦な土地に突然火山が……、という事
 はよく聞く事です。ましてや日本は火山国。これは、行けそうな予
 感です。

  では、東京で火山が噴火するというパニックものの映画を考えて
 みましょう。先ほどのお話でも分るかと思いますが、状況の変化は
 変化の過程が面白いものです。ですので、定跡として、日常の東京
 から火山が噴火する東京という変化が物語の中核となります。何か、
 小松左京の日本沈没を思い起したのは、私だけでしょうか(^^;

 ○ 火山を良く知る(今回はさぼってるけど……)

  さて、では、火山についていろいろと知る必要があります。都市
 上で火山が噴火した例はこれまでありませんので、幾つかに分解し
 てそれを組合わせて何が起るかを想像しなければなりません。例え
 ば「ベスビオ火山の噴火」は都市を火山が襲った例ですので、とて
 も参考になります。また、平地に突然火山が吹出す事例もリサーチ
 しなければなりませんよね。もちろん、江戸時代に富士山が噴火し
 た際の記録も貴重です。なんたって、同じ日本人が江戸近くでどの
 ような反応をしたかがとてもよく分ります。関東大震災の記録も外
 せません。

  こうやって資料をたくさん集めてリサーチをして、想像を膨らま
 せて行くのが本当の所ですが、今回は思いつきから何とかして物語
 にするという大雑把でいくぶん大胆な実例ですので、あまり本格的
 にはやらず、省いてしまいましょう(^^;

 ○ どんな人物がこの物語に関わるか

  さて、舞台は決りました。その変化も決りました。でも肝心な要
 素、そう、「人物」が全然見えてきません。どんな人物を登場させ
 ましょうか。火山学者は出てきそうです。それと、危機管理専門の
 役職の人、もちろん総理大臣も出てきますよね。うーん、危機管理
 と言っても実際の組織名が浮びません……。一体、東京で火山が噴
 火したらどうするつもりなのでしょうか(^^; 

  容易に頭に浮ばないということは、無理に考えても、観客がみた
 ときもきっとすっと頭に馴染まないものになってしまいます。そこ
 で、私でも簡単に思い浮べる事が出来た、総理大臣を主役級にして
 しまいましょう。これは誰でも分りやすいですし、感情移入もしや
 すいはずですし、きっと文部省お墨付とか、総理大臣も大絶賛なん
 て、広告効果も期待できますよ(インディペンデンス・デイがそう
 でしたね……)! うーん、こんなのでいいのだろうか……(^^;

  では、二つの軸が出来ました。火山学者周り、総理大臣周りの二
 つの軸です。映画ですので、もうちょっとバリエーションを増やし
 ましょう。日常的な人がいませんよね、それとクライマックスで派
 手なアクションをする肉体派のかっこういい人物。
  実際、火山が噴火した際に、先頭に立って色々な人々を助けるの
 はきっと自衛隊です。でも、とてもありきたりですし、それに感情
 移入が難しくあります。また、軍隊という血の匂いのする職業にた
 いする共感のしにくさもあります。そうですね、自衛隊と観客の間
 に一人クッションを置き、自衛隊の間にブリッジを掛けましょう。
 うーん、消防士でしょうか。これはとても親しみやすいはずです。
 救助作業を巡って互いが反目するが、次第に消防士も自衛隊も国を
 守る仕事なんだみたいな共感の仕方をし、最後に協力という形にす
 れば、きっと素直に受入れられるはずです。うーん、本当に国から
 ご褒美をどっさり貰えそうな(^^; 映画になってきました。
 自衛隊──消防士の軸が出来ました。

 ○ 主役を作る

  もう少し欲張ってもう一つの軸を作りましょう。どんな軸がいい
 でしょうか。日常的な人が足りていません。平々凡々な人が何かを
 きっかけに勇気を振絞って活躍するストーリーはとても人気があり
 ます。彼(彼女)はどんなことをきっかけにこの物語の大舞台でス
 ポットライトを浴びることになるのでしょうか。

  まず、必要条件を挙げます。
  特別な技能や才能を持っていてはいけません。そうでなければ
 平々凡々ではないからです。
  強い動機を持っていてはいけません。強い動機や強い感情は非日
 常的なものです。この人物をこの物語の軸とするなら、物語のはじ
 めの方から登場させなければなりません。この物語の冒頭は日常で
 す。ですので、この人物が関わり始めるきっかけはこの日常の中で
 起り、そこから非日常(強い動機・感情)になっていくように出来
 れば、観客はこの人を案内に物語の中に入っていく事が出来るはず
 です。

  この人物に何をさせたいでしょうか。すでに東京で火山が爆発す
 る事、三つの人物関係の軸が出来ています。火山という状況の変化
 を充分に使い切る事がこの物語の目的ですので、これまでの三つの
 軸に足りない(出来ない)事をしてもらうことがもちろんいいはず
 です。そして、この四つの軸が上手く影響を与え合わなければなり
 ません。これまでの軸を整理してみましょう。

  火山学者。この人は次々と起る火山現象を予知する、予言者の役
 割をします。この人物の知識、予測はとても心強いでしょうし、観
 客に火山の知識を教える語り手の役割もします。状況の変化を最も
 理解している人です。

  総理大臣。この人の役割は国家規模の混乱の語り手です。また、
 国家としてどう動いたかがこの人物を通して語り手です。この人物
 のリーダーシップは観客にとても力強く感じるでしょうし、危機に
 落込む誰もを前にする演説はきっと観客を感動させるに違いありま
 せん。状況の変化に振回される人々をまとめる人です。

  自衛隊──消防士。この軸にいる人物達は現場の人間です。最前
 線で様々な人々を助ける彼らの懸命な姿はきっとすがすがしい気持
 ちと、熱い気持ちを観客に提供してくれるはずです。追いつめられ
 た人々を勇敢で、胸がすくような方法で助け出すシーンはクライ
 マックスに相応しいものであるに違いありません。

  では、第四の軸は? 何となく分ってきましたね(^^; 被害者
 が足りていませんでした。ただ単に被害を受けるだけではかわいそ
 うですしあまり意味がありませんから、この人物達を追いつめる事
 にしましょう。そこから勇敢に脱出するのです。では、どこに追い
 つめられましょうか。一人二人が追いつめられるだけではクライ
 マックスには物足りなくなってしまいますので、なるべく多くの人
 が追いつめられる事にしましょう。
  さて、どうしましょう。もちろん火山に追いつめられるのですよ。
  うーん、難しいですね。リサーチをさぼってしまったのがここに
 来て痛く響いてしまいました(^^; でも、丹念に順を追って行け
 ばなんとかなる、……はずです。

 ○ なぜ追い詰められるのか

  この多くの人たちだけが追いつめられてしまうのは何故でしょう
 か。これは一つの不思議です。他の人たちは避難が済んでいるので
 す。火山はどれくらいの時間を掛けて彼らを追いつめるのでしょう
 か。一時間? 三日? 一週間? うーん、リサーチを……、とい
 う言葉は飲込んで考えてみます。彼らは致命的に火山に気付くのに
 遅れてしまったのです。それでは、適当で申訳ないのですが三日に
 しましょう。彼らは三日間、火山の情報を知るのが遅れてしまいま
 した。東京のど真ん中で。うーん、不思議(^^; そして他の人た
 ちも彼らを忘れていたのです。どうしてでしょうか。彼らは平々凡々
 な人なのです。

  きっと、外の様子が見えてしまえば気付いてしまいますので、ど
 こか建物の中にいることにします。多くの人たちが入れる建物、し
 かも三日間ですので宿泊施設などの生活する為の設備が必要です。
 窓が無い方がいいですよね。地下でしょうか。なかなか限定(そし
 て難しく……、)されてきましたよ。無理にこじつけたくはありま
 せんので、彼らが自発的に入った、そして普通にだれでもそれが起
 りうる事にしたくあります。
  さて?

  通信が遮断されているという事は、都心ではほとんどあり得ませ
 ん。ですので、意図的に通信を遮断している(勿論誰もがそれを納
 得している)事になります。つまり、この情報の遮断は彼らのルール
 なのです。だんだん不思議さが解明されてきましたよ(^_^) 何か
 イベントなのですね。厳重に遮断するのですから、外から情報が
 入ってきては行けない訳です。多額の賞金が掛けられていそうです。
  そんなのがありそうでしょうか?
  ありそうです、テレビ番組ならば。
  きっと彼らはテレビ番組の参加者で、その地下の建物で多額の賞
 金を掛けて三日間競い合っているのです。勿論、生中継で放送され
 ている。いいですね(^_^) 日本中の誰もが、「彼らは火山を知
 らない」という事を知っているのです。どんな番組がいいでしょう
 か。何となくクライマックスに関係ありそうな物が良さそうです。
 クライマックスは脱出ですから、番組も脱出するものにしましょう。
 無人島サバイバルのノリですね。トップの人間がそこから見事に脱
 出して扉を開いた瞬間、その向うに灼熱のマグマが見え、追いつめ
 られている事を知る。そこで、参加者全員で協力して脱出を模索す
 る、なんてどうでしょうか(^^;
  見えてきましたね。後はつめるだけです。

  何でだれも助けに行けないの? 脱出を困難にするにはどうする?
 様々な火山現象が彼らの行く手を遮るようにするのは? なかなか
 多くの疑問が浮びますが、これも丹念に一つ一つクリアして行けば
 いいのです。本当はこれ先が、実際に映画のシーンが出来ていく面
 白い部分なのですが、本筋からは外れてしまいますので、割愛致し
 ます。

 ○ 物語のイメージの組み立て

  さて、ようやっと物語の材料が揃いました。
  うーん、長かったなどと思うのですが、これを映画として全体の
 イメージを組み上げてみましょう。おおよそどのような物語になる
 かが分るかと思います。
  この材料からどのような物語を組み上げてもよいのですが、ここ
 は少々手抜きをして、昔から物語解析をお読みの方には馴染みの深
 い、起承転承転結という安定したパターンに当てはめて作ってみた
 いと思います。これは、のび太の魔界大冒険の解析でご紹介した
 「手の込んだ映画」によく見られるパターンです。

  この映画には印象的なシーンが幾つか思いつきます。
  まず第一に、「扉を開けたらマグマが」というシーン。
  第二に、「総理大臣の演説」シーン。
  第三に、「自衛官と消防士の友情」
  第四に、「火山学者の適切な指示」
  四つの人間関係軸のそれぞれのクライマックスです。と言ってし
 まうと、少々火山学者の軸が弱いことに気付きまうのですが(^^;
 これは何とでもなります。例として上げている映画ですので、とっさ
 に思いつく安易な方法をとることにして、「アルコール中毒で、借
 金だらけだった天才学者が突然に目覚める」とでもしておきま
 しょう。

  では、この四つのシーンが、起承転承転結のどこに当てはまるの
 かを考えましょう。

  第一のシーン。これは文句がありません。転1の冒頭です。議論
 の余地がありません。この方向転換の強さは転以外にありえません
 し、第二の転では遅すぎます。

  第二のシーン。総理大臣にどれだけフォーカスするかによってし
 まうのですが、承2か転2ですね。総理大臣の言葉が決定に物語を
 動かす物になるのか、ただ単に登場人物を勇気づけるものになるの
 かの違いになりますが、うーん、ご褒美がたくさん欲しい気持ちを
 捨ててしまって、登場人物を勇気づける方向にしましょう。つまり、
 総理大臣にカリスマ性を与えるのではなく、役割をしっかり果す堅
 実な人というレベルにとどめるのです。承2という事にします。

  第三のシーン。これは明確に総理大臣の発言の後です。そこまで
 ぎくしゃくしていた関係を復旧させるには、きっかけが必要です。
 つまり、このシーンは、承2から始り、転2で完結します。

  第四のシーン。これは重要度が低いのどこでもいいのですが、
 みんなのぎくしゃくぶりがなくなり始める転2のはじまり辺りが
 よいでしょうか。

  おおよそのイメージが出てきました。時間の配分をしましょう。
  二時間の映画として、はじめの四十五分を転1への道筋に使い
 ます。ここまでに、おおよそ登場人物を全て登場させ、人物の設
 定を公にしてしまいます。つまり、

  火山学者。借金まみれで、アルコール中毒なのです。だらしな
 いシーンと荒れた生活を描きます。天才的としましたので、それ
 を印象づける為に、この学者をただ一人崇拝している助手(しっ
 かりしている)を付け、目覚めるまでの間は、助手に散々な苦労
 をさせる事にします。何となくこの軸にはイメージがつくでしょ
 うか。

  総理大臣。彼周辺の初期の混乱を描きます。彼を通して、日本
 の混乱を描きますので、比較的露出の多い立場になるはずです。
 ここで目立っても仕方ないので、ここは対応に追われ、四苦八苦
 する様子を描きます。ミスをする事にしましょう。彼には痛手を
 負わせ、演説のシーンまで自信を揺らがせておくのがよいと思い
 ます。

  自衛隊──消防士。二人の職場から始め、お互いが熱心に組織
 のつとめを果すうちに、組織同士の衝突として二人が出会います。
 反目を初め、転1の後に本格的に対立をします。

  被害者。ここは、華やかなTV番組を描き、その中で楽しむ被
 害者を描きます。最近微震が続いていたが、とりあえず楽しんで
 いる。日本全国はいよいよ東京で火山が噴火すると言うことが明
 らかになり、戦々恐々としている中、彼らだけはそれを知らない
 のです。人が避難し、誰もいなくなった都心に、ただただテレビ
 だけが、楽しげな脱出番組を放送している。いい感じではないで
 しょうか。そして、脱出を果す直前に火山が噴火するのです。

  さて続く45分を転1から転2に続く道筋にします。
  この時間は被害者を追いつめるために使います。仲違いをし、
 周りも頼りにならず、窮地に陥れられます。火山のあらゆる「状
 況の変化」を利用しましょう。ガス、マグマ、地震、地割れ、蒸
 気に噴火、爆発とありとあらゆる「状況の変化」をそれらしい説
 明をつけて、好きなように配置できるはずです。これこそ、無因
 型の大きな強みですね(^_^)。 仲間と分裂させたい。地割れ
 が使えます。派手なシーンを。爆発させましょうか。じわじわと
 追いつめたい。ガスですね。ピンチを危機一髪。噴火させます?
  この自由度が分るでしょうか。ほとんど調整をする必要なく、
 それらしさを与えれば、誰もが納得してくれるのです。おおよそ
 のイメージは出来ましたでしょうか。

  最後の30分はクライマックスです。
  被害者が勇気づけられ、決断をし、他の面々の助けを借りて、
 脱出を果します。これまでため込ませ続けた、不和と不安と不満
 足を一気に逆転させ、爽快感を感じさせるのです。火山学者が的
 確な予測をし、総理大臣は勇気づけ、自衛隊──消防士は体を張
 り、被害者たちは敢然と火山に挑みます。そして、無事脱出を果
 しハッピーエンドとします。

 いかがでしたか?
 この映画、想像が出来ましたか?

 ● 04 ● おわりに                      :[ 04 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  長らくお待たせをする事になってしまいました(^^;
  要素による解析基礎「舞台」の状況の変化編の実例をお届け致
 します。ずいぶんと好き放題に物語を構築してしまいましたため、
 うーん、これはちょっと……という部分あるかと思います。もう
 少し丁寧に作りたかったなあなどとは思いますが、少しでも、
 状況の変化の理解に繋がれば幸いです。

  次回以降の物語解析も楽しみにしてくださると、幸いに存じます。
  それでは、また次の機会に。

 ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■
                        特別編集版号   2002/05/12
   「 物 語 解 析 」
    〜 要素による解析基礎 「舞台」 状況の変化編(実例) 〜

 発行者:hikali
   文:hikali

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