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                          第十二号   2002/05/12
   「 物 語 解 析 」
    〜 要素による解析基礎 「道具」 ガイダンス 〜

 「今号を要約!」 魅力的な「道具」たちの世界へのお誘い

  数ある道具の中から「一人前の道具」を見つけるには、「所有」「効果」
  「変化」に注目するといいんですよ。

  - - - -< 今号の中身をピックアップ! > - - - - - - - - - - - - - - - - -
 《 本文 》                          《ページ&
                                 落書き欄》
                                 (^_^;

   01:はじめに                       :[ 01 ]
     ──ホームページを更新しました。

   02:要素による解析ってなに???             :[ 02 ]
     ――簡単ではありますが、説明しています。

   03:解析術講座 「要素による解析「道具」」        :[ 03 ]
    03-01:「「道具」って一体どんなもの??」        :[ 03-01 ]
        ――魅力的な道具たちについて
    03-02:「「所有・存在」「効果」「変化」」        :[ 03-02 ]
        ――この三つの切り口で解析を。
    03-03:「まとめ」                    :[ 03-03 ]
        ――この三つでおおかた分かるのですよ。

   04:諸所雑感 「『ビューティフルマインド』みました!」  :[ 04 ]
     ――ディック的な現実・非現実の交差ですよね。

   05:おわりに                        :[ 05 ]
     ――もしなにか、解析のご要望がありましたら、
       やってみますよ!

 ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■  http://www.seikou-toutei.com/nmk/index.html ■


 ● 01 ● はじめに                      :[ 01 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  う、久しぶりに……、という事になってしまいましたが、物語
 解析の「道具」編をお届けする事ができるようになりました。ま
 た、物語解析のホームページを更新しました。ほとんど更新がな
 く、とても心苦しい気持ちを抱えていたのですが、ようやっと、
 の更新です。バックナンバー等、これまでなかなかご用意する事
 ができていませんでしたが、ようやっとみなさんの便利に近づけた
 と思っております。

  今回の、ホームページの更新により、無料ホームページサービス
 をhoopsというサイトから、Tripodというサイトに変更しました。
 これは利便性と運営の着実さという理由からです。それにより、
 より更新が簡単に、負担なく行うことができるようになりましたの
 で、これまでよりはもっと便利になって行くと思っております。

  ながながとあまり面白くないお話をしてしまいましたが、
 物語解析を始めましょう! 楽しんでいただければ幸いです。


 ● 02 ● 要素による解析ってなに???            :[ 02 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  これまでの物語解析では、物語は「人物」「舞台」「道具」
 「決まり事(背景)」の四つに分かれ、その四つの働きを調べる
 ことにより、物語をかなり正確に把握できるというお話をしてき
 ました。
  「人物」に関しては、第六号、第七号を通して、「舞台」に関
 しては第八号〜第十一号までにお話したと思います。

  今回からは、「道具」です。今号はガイダンスと言う形になり
 ますが、魅力的な道具の世界を少しでも覗きこんでいただくこと
 ができれば、幸いです。

  もし、前回以前の内容がお読みになりたいという方がいらっ
 しゃいましたら、メールの形でバックナンバーをお送り致します。
  少々遅れてしまうかも知れませんが、お気軽お声を掛けて下さ
 れば幸いです。

  と、いうわけで物語解析、はじめちゃいましょう!!


 ● 03 ● 解析術講座 「要素による解析「道具」」       :[ 03 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  さて、長い(ほんとに長かったぁ……)舞台編が終り、ようや
 く次の要素──「道具」のお話をする事になりました。舞台に比
 べ、いくぶん簡単な部分ですので、ご安心いただければ幸いです。

 ○ 03 ○ 「道具」って一体どんなもの?? ○ 01 ○       :[ 03-01 ]

  道具という要素を詳しく分析してみると、しばしば物語の中に
 おいて大きな影響を与えたり、物語の主役となることに気付きま
 す。「指輪物語」に出てくる指輪、「夏の夜の夢」に出てくる浮
 気草、「法律事務所」に出てくる証拠書類、「ミッションイン
 ポッシブル2」に出てくるウイルス、極めつけは、出てくる「道
 具」によるどたばたによって物語が構成させるドラえもんシリーズ
 等々。「道具」の魅力が物語の基礎になっており、それが物語を
 どう構成しているかを分析する事はとても楽しい事のはずです。

  一方で、派手ではありませんがきらりと光るさりげない小道具
 が物語をダイナミックに動かす場合もあります。例えば、アク
 ション映画でよく見る取っ組み合いの最中の拳銃の奪い合いや、
 追手に追いかけられ攻撃を受けながらぼろぼろになってゆく高速
 宇宙艇、シャーロック・ホームズが発見してしまう奇妙なパイプ、
 被害者が残したコインロッカーの鍵、強度の近視者が落してしま
 う眼鏡、濡れて着きそうで着かないライターなどなど。

  このように見てみると、物語における「道具」の魅力や、その
 物語を動かす力強さに気付くかと思います。いわくある宝物や、
 SFのガジェット、歴史物の名刀・名宝、推理ものに出てくる奇
 妙な証拠、青春ドラマの思い出の品などは、とても人気のある
 「道具」ですし、また好んで登場させられる事の多いものです。
 魅力的な人物・舞台が物語を彩る要素の一つであるように、この
 道具も物語を魅力的に、面白く、豊かにする要素の一つなのです。

  ぜひともこの道具の魅力的な世界を解き明して行きたいと思う
 のですが、「どのような道具が魅力か」という問いには、以前、
 「人物」のお話の冒頭でお話ししましたように、答えることは出
 来そうにありません。人の好みというものが介在してしまう部分
 であるからです。例え世界中の多くの方が地雷を廃絶しようとし
 ていても、わたしが「地雷大好き! 二時間地雷だらけの映画を
 みたい!」(そんなひとはさすがにいないでしょうが (^_^; 
 でも、戦時中の地雷処理班の息詰る活躍なんてのも見てみたい
 なぁなんて思います)と言ってしまえば、どんなに人の道を外れ
 ていても、わたしにとって地雷はとてつもなく魅力的な道具に
 なってしまうからです。

  ですから物語解析ではその魅力を探る事はせず、「要素の性質」
 「要素と要素の関係」という二点にのみ絞ってお話をして行きた
 いと思います。もちろん、それだけであっても充分面白い事です
 し、発見の興奮に満ちたものであると思いますよ!

  それでは「道具」の世界に踏み入ってみることにしましょう。


 ○ 03 ○ 「所有・存在」「効果」「変化」 ○ 02 ○       :[ 03-02 ]

  「道具」という言葉にフォーカスして物語を眺めてみると、
 様々な疑問にぶつかる事があるかと思います。かぼちゃの馬車や
 玉手箱といったはっきりと道具と分るものであればいいのですが、
 「人魚ダンダルシアの涙」のように他の要素に強く従属する場合
 や、「小夜子さんから健太郎くんへの手紙」のようにその情報に
 意味があるもの、「東急ハンズの売物」のように舞台を彩り、人
 物との出会いによってのみ素敵にクローズアップされるものなど、
 人物・舞台と言ったものに比べて脇役となる事の多い性質がある
 ため、はっきりとは独立せず、様々な要素に溶け込んでしまう場
 合が多々あります。

  要素による解析の技術を使って、東急ハンズを舞台にした、訪
 れるお客さんと店員の商品を通しての心の交流を描いた、心暖ま
 る宣伝ドラマ(ちょっと幻想が入り気味ですが……^_^;)を解
 析するときに、わざわざデパートの商品を一つ一つ書出すことは
 かなり馬鹿げたことでありますし、同様にアレキサンドリアの大
 図書館の蔵書リストを用意することは、確かに想像力を刺激され
 るわくわくすることですが、物語の本質と関係があるとはとても
 いうことが出来ません。

  このとき、数多くの「道具」の中でどの品物を「道具」に昇格
 させて解析するべきか、言い換えれば、「どの道具を一人前の
 「道具」として認めてあげるか」という判断をする必要が出てき
 ます。つまり物語における重要度をつける必要があるのですが、
 これはとてもシンプルな三つの切り口によって知ることが出来ま
 す。

 「所有・存在」:誰が持っているか、どこにあるか。もしくは誰が欲しいか。
 「効果」   :この道具を使うことによってどんな事が出来るようになるか。
 「変化」   :どう変るか、もしくは変らないか。もしくは変っていったか。

  物語の世界が豊かであるため、なかなか例外的かつ魅力的な
 「道具」が多くて困ってしまうのですが(^^; おおよそこの三
 つの切り口によって、物語を解析してみると分りすぎてしまうく
 らい、分ってしまうようです。

  物語の中の「一人前の道具」たちは、この三つの切り口におい
 て強い性質を持っています。つまり、「道具」が物語に積極的に
 影響を与えるのは、この三つの切り口を通じてであることが多い
 のです。

  例えば、「所有・存在」ですが、これは以前にお話ししたこと
 がある、「持主が替る道具は重要」という法則を思い出して下さ
 い。ドラえもんの解析のときにお話ししたと思うのですが、逆に
 言えば、ある道具にフォーカスを当てたいときには、「持主を替
 える」というのが一つの強力な手段になります。蛇足を覚悟して
 言えば、これは「持主が替りそうになる」でも構いません。誰も
 が欲しがり、奪おうとする道具はとても重要に見えますよね。わ
 かりますか? これは指輪物語で使用されている技術なのです。

  「効果」はどうでしょうか。きっと誰にでも直感的に、強い効
 果のある道具は重要という印象を持つでしょう。もう少し深く
 「効果」に踏み入ると、水戸黄門の葵の印籠は物語の流れを力強
 く作り上げる道具ですし、ニーベンリンゲンの歌に出てくるライ
 ンの黄金ほど民族を動かし復讐の大惨劇をもたらすものでないこ
 とが分ります。しかし、「印籠・ラインの黄金の効果は?」と聞
 かれ直感的な答はなかなかしづらいのではないでしょうか。もっと
 シンプルに、第一次世界大戦前のスパイ達の暗躍を描いた物語に
 おける「秘密兵器・飛行機」というようなものであれば、その道
 具を持っている事による「空を飛べる」という効果が分るかと思
 います。そして、「秘密兵器」を手にした者が物語において特殊
 な立場に立ち、物語を縦横に動かして行くことが出来るようにな
 る様子が、作り手の手のひらさえも飛び出して、生き生きと想像
 できてくるのではないでしょうか。

  「変化」の重要性は誤解して考えてしまいそうな部分です。こ
 の視点は「変化する」事が重要なのではなく、「変化する、もし
 くは不変」というその道具の状態の変化にフォーカスがあてられ
 る事が重要になります。なかなか分りにくいですね(^^;
  例えば、あまり大きく物語を動かさない例で申し訳ありません
 が、マッチとガスライターとジッポライターを持っている人たち
 が、船が難破して無人島に漂流した物語を想像して見て下さい。
  火を起したいという流れのとき、マッチは濡れてしまって点き
 ません。本来であれば点くはずのものですが、「濡れる」という
 事で物語の流れを作り上げてしまいます。
  ガスライターも同様です。ヘビースモーカーが使い慣れたライ
 ターを一生懸命カチカチするが、その努力むなしく点かない、な
 んてのはありそうな場面ですよね。
  そしてぽつんと立っていた少年が、スパイダーマン好きの趣味
 が高じてクリスマスプレゼントで買ってもらったスパイダーマン
 のジッポーを持っている事を知った大人達が、「使いたくない!」
 と駄々をこねる少年に頼み込んでジッポライターを貸してもらう。
 「濡れても点くことには変らない」という「道具」の特徴が物語
 を大きく動かしています。ジッポライターがあるという事でこん
 な風に変るのです。


 ○ 03 ○ 「まとめ」 ○ 03 ○                 :[ 03-03 ] 

  さて、「道具」のガイダンスいかがだったでしょうか。
  ガイダンスという事もあって、ほんのさわりという事になって
 しまいましたが、魅力的な道具の世界だけに、慎重にお伝えする
 方がよいようです。道具はたった三つの切り口によって、お話し
 たいと思っております。例外が多いのがこの「道具」の世界なの
 ですが、おおよそのことはこの三つで分析ができると思っていた
 ければ幸いです。


 ● 04 ● 諸所雑感 「『ビューティフルマインド』みました!」:[ 04 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  アカデミー賞受賞作のビューティフルマインドですが、見ました!
  うー、落ち着く間の無いお話で、最後の最後まで、安心がなかなか
 できないのですが、その手に汗握る完成度の高さは秀逸です。

  物語的には、どうしても人物の要素が少なく、たった二三人の人物
 だけにフォーカスしてしまうものであるため、息苦しさを感じます。
 舞台が魅力的なわけではなく、道具も魅力に欠けます。ただ、1人、
 主人公の精神状態をひたすらに追った、鬼気迫る物語なのですが、
 まさにそれだけの為にある、という感じです(そりゃそうだ)。

  しかし、現実と非現実の描写は凄まじく、SFのフィリップ・K・
 ディックがSF映画の一つの黄金パターンとして持ちこんだその不安
 感を掻き立てる作りは、「なにもここまでやらなくても……」という
 レベルにまでなっています。あ、そうそう、ディック原作映画ですが、
 こんどスピルバーグ監督指揮で作られるそうです。予告を見ながら、
 「え?! ほんと?! マイノリティー・リポート!?」
 とびっくりしてしまったのですが、マイノリティー・リポートという
 作品を映画化するようです。私としては、「最後から二番目の真実」
 とか、「死の迷宮」とか、「エルドリッチ・パーマーの三つの聖痕」
 とか、もっと危なっかしいやつがいいなあなんて思ってしまう(^^;
 のですが、やっぱり映画には向かないのでしょうか……。

  ……、なにか、ビューティフル・マインドとは違う方向に行って
 しまいましたね。とても感動的なお話です。ぜひともご覧頂ければ
 嬉しいです。

 ● 05 ● おわりに                      :[ 05 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
  ようやっと、「道具」編をお届けすることができました。
  個人的な、なかなか時間を割くことができないということと、
 長らくお待たせしてしまうのは、申し訳ないという気持ちから、
 物語解析は今回程度の長さでお届けしてゆきたいと思っておりま
 す。もちろん、中身の充実度には変わりがないつもりですので、
 お楽しみにしていただければ幸いです。

  そうそう、それと、この道具編でも、物語の解析の実演をして
 みたいと思います。もしなにか、この物語を分析してほしいとい
 う物がございましたら、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。短い
 お話だと幸いです。映画・小説は割けて頂けると嬉しいです。
 また、古めのものであると、もっと嬉しいです。嬉しいお願いを
 頂きましても、ご要望に応じられない場合があるかもしれません。
 その時は、本当にすみません。拝見して、私にお話をできること
 がありましたら、個別にお話をさせて頂きたいと思っております。

  というわけで、今回も最後までお読み頂き、本当にありがとう
 ございました。では、また、次回に!

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                       第十二号   2002/05/12
   「 物 語 解 析 」
    〜 要素による解析基礎 「道具」 ガイダンス 〜

 発行者:hikali
   文:hikali

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