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                           第6号   2004/11/21
   「 新 ・ 物 語 解 析 」
    〜 宮崎駿監督「魔法使いハウルと動く城」を原作からつくっちゃおう! 〜


 ■ ―― ■ ―― ■ ―― ■  http://www.seikou-toutei.com/nmk/index.html ■


 ● 01 ● はじめに                      :[ 01 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
 みなさん、こんにちは。
 新・物語解析「わたし流『ハウルの動く城』をつくっちゃおう!」
をお読みいただいて本当にありがとうございます。

 このメールマガジンは、今年の秋にも公開予定と言われる宮崎駿監督
「ハウルの動く城」の公開に先駆け、その映画版ストーリーを原作より
作ってしまうという超早取り(<もう早取りなどと言えなくなってきま
したが……)なメールマガジンです。原作となる「魔法使いハウルと火
の悪魔」を読破していないとついてこれないかもしれない、豪快な企画
ですが、みなさま最後までよろしくお願いいたします。

 ……、と、実は、最後の最後になりまして、かなり多くの方々に、ご
登録を頂きました。「ハウル間近っ!!」という事でしょうか、どうや
らまぐまぐでご紹介いただいたようで、いきなりご購読頂いている方が
倍増してしまいました。
 よたよた発行している、亀のようなメールマガジンですが、楽しんで
いただければ嬉しいです。

 とかなんとか言いつつも、かなり締め切りを過ぎた発行となりました。
 わたしの本業が忙しくて、土曜追い込みしかないとういう状況のせい
なのですが、うーん過ぎてしまいましたね、公開日。
 とりあえず、わたしは本日見に行きますが、どうなのでしょうか。
 それほどお客さんは入っていないよう。うーん、という感じです。

 さて、これまで、原作版ハウルを映画にするために障害となることを
挙げ、逐一物語を修正してきました。物語解析で用いている要素による
分析上ではほぼ全面において修正が完了しました。見渡してみて、
うーん、ずいぶん変えたなあと思ってしまうのですが、現在のように設
計図だけが散らばっている状況では物語の全体像が見渡しにくいのでは
ないでしょうか。

 そこで、今号では、この散らばった設計図の全容を原作に準じた21章
じたてのプロットにまとめ、どのような物語になったかを把握してみた
いと思います。
 ようやく、ここまでたどり着きました。
 これまでの冒険の結果、どのようになったかをご確認いただければ
嬉しいです。

 もし、これまでの経緯を読んでいない、昔のメールを探すのがめんどく
さいという事がありましたら、物語解析のページを更新し、バックナン
バーをお読みいただけるようにしましたので、こちらをご利用下さい。

 ■新・物語解析ページ
 http://www.seikou-toutei.com/nmk/

 本当に更新がされないページでごめんなさい。
 うーん、コマッタ。



 ● 02 ● 原作ハウルを21章じたてのプロットにまとめてみる   :[ 02 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
 さて、まず手始めに、原作のプロットをまとめてみることにしま
しょう。わたしもハウルのプロットを考察するのははじめてです。
よく、物語の制作に「プロットが心臓」などという人がありますが、
原作ハウルのような込入ったプロットを持った作品をまずプロット
の分析からはいる事から分析することほど労多く、ナンセンスな事
はありません。
 21章にまとめてみましょう、読んでみれば分るはずです。

 第1章 帽子屋のあととり娘
 第2章 ソフィーの旅立ち
 第3章 魔法使いハウルの城
 第4章 ひねくれ者の火の悪魔
 第5章 掃除、掃除、掃除
 第6章 不機嫌なハウルの緑のねばねば
 第7章 かかしの恩返し?
 第8章 七リーグ靴の歩き方
 第9章 手強い呪文に手こずるマイケル
 第10章 聞きのがしたヒント
 第11章 甥っ子の宿題
 第12章 王様に会うまえ
 第13章 帰り道が分らない!
 第14章 風邪を引いた魔法使い
 第15章 お葬式に行った犬
 第16章 七変化魔法合戦
 第17章 お城の引越
 第18章 ふたたびかかしが
 第19章 ソフィーのかんしゃく
 第20章 夏至祭の再会
 第21章 ハウルの心臓

 さてとりあえず、21章のタイトルだけを並べてみました。
 並べてみるとよく分るのですが、おそらくこの物語はかなりゆる
い、起承転結のかたちをとっています。1〜2章までが「起」、
3章から11章までが「承」、12章から16章までが「転」、17章から
21章までが「結」とわたしは分析します。

 この四つのブロックはそれぞれに「同じ流れ」をしており、次の
ブロックへ移ると(例えば11章から12章へ移ると)これまでとは明
らかに物語の流れ方が変るからです。

 そのブロックの特徴を見てみると、それぞれが「起」「承」「転」
「結」の役割を果しており、それがこの物語の特徴となっています。
このブロックごとにプロットをまとめてみましょう。

 また、その後、この「起承転結」の物語を「起承転承転結」の物語
解析をお読みの方にはお馴染みの「ハリウッドライクな物語展開」に
変更していきます。

 ■原作ハウル 「起」

 第1章 帽子屋のあととり娘
 第2章 ソフィーの旅立ち

 この部分でジョーンズはあっと息もつかせない早業で物語を起して
いきます。物語を解析する人間にはとてもスリリングなほどの展開、
この起の中にいくつもの「転」があるように感じてしまうほどです。
要約してみましょう。かなりの文章量になるはずです。


  第1章 帽子屋のあととり娘

 ソフィーは帽子屋の三姉妹の長女として生れました。学校へ行き、
妹たちの世話をする日々でしたが、インガリー国では「荒野の魔女」
が宮廷魔術師のサマリンを殺してしまい、頼みのジャスティン王子も
逃出す始末。その頃、がやがや町には動く城が現れ始め、誰もが荒野
の魔女の侵略だと思っていましたが、どうやら魔法使いハウルの城の
ようです。ハウルは若い娘たちの心臓を食らう残酷な魔法使いだとの
噂でした。
 そんなところ、ソフィーの父、ハッター氏が急死しました。残され
た母親ファニーは、次女のレティーをパン屋の見習いに、三女のマー
サを知合いの魔法使いの弟子に、ソフィーを帽子屋の跡取りとし、三
姉妹は別れ別れになりました。
 ソフィーは帽子屋として腕を上げていきましたが、次第に帽子以外
の話相手がいなくなりました。春になると、帽子の売行きはよくなり
大忙しとなりました。ソフィーは夜遅くまで帽子を仕上げる日が続き、
ある時鏡を見て、オールドミスのような自分の姿に驚きました。
 五月祭の日、ソフィーは決心をしてレティーに会いに行くことにし
ました。しかし、町の雑踏にさえ怯える始末、若者にナンパされかか
り、慌ててレティーのパン屋に逃込みました。レティー持前の美貌が
すでに大人気で、パン屋は大繁盛でした。しかし、レティーと思って
話すと、魔法使いに弟子入したはずのマーサが言いました。
 「驚かないでね、わたし、マーサよ」


 第2章 ソフィーの旅立ち

 マーサはレティーと魔法で入れ替っている事を告白し、ソフィーが
継母のファニーにこき使われているといいました。ソフィーはファニ
ーに対する疑念を抱きながら帰りましたが、帰っても仕事が上手く行
きません。お客さんには口げんかを吹っ掛ける始末です。そんな所に
見るからに大金持ちな上品なお客様が現れました。帽子を勧めるソフ
ィーを相手にせず、冷淡にこう言いました。
「わたしの領分を無断で侵すとどうなるか思い知るがいい」
 そのお客様はなんと荒野の魔女で、ソフィーに恐ろしい呪いをかけ
たのです。ソフィーは90歳のおばあちゃんとなり、家にいることが
出来なくなり、旅立つこととしました。行くあてなんてありません。
 丘を上ると、かかしが捨置いてありましたのでしっかり立てて上げ
ました。犬がロープに結ばれて苦しんでいたので逃してやりました。
上手い具合に杖が落ちていたので、それを拾って歩きました。
 丘を登ると日が暮れてきました。もう辺りは寒くなり始め、暖かい
暖炉が欲しくなってきました。がやがや町に帰ろうとすれば真夜中に
なるはずです。そのとき、ハウルの動く城が見えました。ソフィーは
あわててそれに近づき「止れ!」と大声を上げました。城は止り、ソ
フィーはほっと一息つきました。

 な、長い……。一章三行ぐらいを目安にしていたのですが、とても
収りそうにないですね……。
 ここまでが「起」であることに対しては異論がないでしょうか。
 ハウルの動く城が主舞台ですから、その舞台・新たな人間関係の登
場が「承」となる定跡に照らし合せればここからが「承」となります。
荒野の魔女に呪いをかけられたのが「転」だなんて言わないで下さい
ね。細かな事件にとらわれることなく全体の流れを見渡しましょう。
そもそも、この物語は魔女の呪いから始る物語なのです。


 ■原作ハウル 「承」

 第3章 魔法使いハウルの城
 第4章 ひねくれ者の火の悪魔
 第5章 掃除、掃除、掃除
 第6章 不機嫌なハウルの緑のねばねば
 第7章 かかしの恩返し?
 第8章 七リーグ靴の歩き方
 第9章 手強い呪文に手こずるマイケル
 第10章 聞きのがしたヒント
 第11章 甥っ子の宿題

 さて、あまりにもスリリングだった起に比べて、承はゆっくり
と進みます。ここからがジョーンズの書きたかった所、当然、起
ることがらをぞんざいに扱うような事はしません。この辺りは
さっさと要約してしまいましょう。


 第3章 魔法使いハウルの城

 ソフィーは無事ハウルの城に潜り込みました。ハウルは不在の
ようで、その弟子であるマイケルがいたのですが、老人になって
図々しくなったソフィーは、マイケルを丸め込んで居座りました。
部屋には暖炉がありました。ここに火の悪魔であるカルシファー
がいたのです。
 カルシファーはソフィーの呪いを見抜きました。しかし、解く
には時間が掛るというのです。代りにカルシファーは自分とハウ
ルの間の契約を破ってくれと言いました。カルシファーは城にと
どまることを望みます。ソフィーはカルシファーと協力して、城
に居座る方法を考え始めました。


 第4章 ひねくれ者の火の悪魔

 翌朝目覚めたソフィーが城を探検し始めると、それは狭く汚い
城でした。ソフィーはカルシファーとの契約を楯に、いやがるカ
ルシファーを従わせて朝食を作り、そこへハウルが帰ってきまし
た。ハウルはそれに驚きましたが、ソフィーとまともに取合おう
としません。
 ソフィーがあれこれ質問すると、どうやらハウルは悪い魔法使
いという訳ではないようでした。何でも、わざと悪く見せている
とのこと。その動く城自体も魔法で大きく見せているだけで、
ちっぽけな小屋であることが分りました。しかし、魔法の扉が
色々なところに繋がっていました。
 王様がいるキングスベリーはその一つです。
 王様はハウルが戦争をする兵士のために七リーグ靴を作ってく
れたことに感謝し、ハウルに褒美を与えました。


 第5章 掃除、掃除、掃除

 ソフィーは城中を掃除し始めました。マイケルやカルシファー
は嫌がりますがそんなのお構いなしです。どうやら、魔法の扉は
ポートヘイブンにも繋がっているようでした。薬をもらいにきた
女の子に、わたしは魔女だというとその噂はあっと言う間に広が
り、ハウルの城は贈物で一杯になりました。
 掃除を始めると色々な事が分りました。ハウルが外出するのは
女の子を追いかけているからでした。今度の娘さんには時間が
掛っているようでした。マイケルにもどうやら恋人がいるようで
す。
 ハウルの部屋と庭を掃除しようとするとハウルが立ちはだかり
ました。口げんかをしましたが、ハウルの方が一枚上手のよう。
ソフィーは引下がるしかありませんでした。


 第6章 不機嫌なハウルの緑のねばねば

 王様は、ハウルを宮廷魔術師サマリンの代りにするようでした。
ハウルに次々と魔法の道具を作らせます。しかし、ハウルは幾ら
お金をもらっても作りたくはありませんでした。
 ハウルの性格も次第に分ってきました。ハウルが女の子に興味
を持っているのは恋に落ちるまで、相手が惚れたとたんどうでも
よくなって、また別の女の子を恋に落そうとするのです。何とも
始末の悪い性格です。そのためマイケルが「ハウルは若い娘の心
臓を食べる」という噂を流さなければならないほどでした。
 ハウルは、今度の娘には大変手こずっているようでした。
 そのため非常に不機嫌で、終いには、金髪に染めてあった赤毛
がかすかに元に戻ったのを見て、大変なヒステリーを起しました。
ハウルは体中からヘドロのような緑のねばねばをだし、カルシフ
ァーを消してしまうところでした。
 ソフィーは一時間かけてハウルを洗い、落着かせることが出来
ました。
 聞いてみるとハウルは、今度の女の子と恋に落ちることが出来
ないことを大変苦にしていました。しかしどうやら、そのお相手
は、レティー・ハッター。ソフィーの妹のようなのです。


 第7章 かかしの恩返し?

 次の日、早々にハウルとマイケルの二人は出かけていきました。
ソフィーも出かけたかったのですが、奇妙な来客があり、それはか
ないませんでした。やってきたのはかかしです。あまりに恐ろしい
姿にソフィーは恐がり、カルシファーに頼んで城のスピードを上げ
てもらい、何とか逃げました。
 夕方になるとマイケルが喜んで帰ってきました。なんでも「<チ
ェザーリ>の店にいるレティー・ハッター(マーサ)は、ハウルな
んかとはあったことがない」という事が分ったからだそうです。な
んと、マイケルはマーサと結婚の約束までしていたのです。ソフィ
ーは少し安心しました。しかし、レティー・ハッターはもう一人い
るのです。
 ハウルはうなだれて帰ってきました。どうやら王様にジャスティ
ン王子の捜索の命令を受けさせられそうなのです。ハウルはいやが
っていました。ハウルは昔、荒野の魔女を恋に落した事があり、そ
のせいで呪いをかけられそうになっているからなのだそうです。ジ
ャスティン王子は荒野の魔女の所にいそうなのです。ハウルは、ソ
フィーに王様の所へいって断ってくれと言い出しました。


 第8章 七リーグ靴の歩き方

 次の日、ハウルはレティーのいるファエファックス夫人の住む<
上折れ谷>へ向いました。その出かけにかかしが邪魔をしましたが、
ハウルが魔法で追っ払ってしまいました。ソフィーは何とかハウル
の後を追おうとします。マイケルに邪魔をされましたが、訳を話す
と、協力してくれました。
 七リーグ靴を使おうと言うのです。
 二人は七リーグ靴を履いてさんざんな目に遭いましたが何とか<
上折れ谷>に辿り着きました。そこで夫人と会いましたが、飼犬の
コリーが暴れたために、それを捕まえなければなりませんでした。
ようやく捕まえると、ハウルとレティーが二人で話している所に出
くわしました。夫人の話では、ハウルであることは分っていること、
そしてレティーとマーサが入れ替っていることもお見通しでした。
 夫人は、ハウルとレティーが一緒になることを後押ししていると
の事。何とも困ったおばちゃん魂です。ですが、レティーには別に
好きな人がいて、その人はひどい呪いに掛っているようです。また
しても荒野の魔女です。夫人はペンステモン夫人の弟子でした。サ
マリンも、ハウルもその弟子で、そのため夫人はハウルをよく知っ
ているのです。ソフィー達は、ハウルに気付かれないように帰るこ
とにしました。


 第9章 手強い呪文に手こずるマイケル

 ソフィーはレティーがハウルに狙われていると知り、気分がふさ
ぎました。
 マイケルは難しい呪文に挑戦しており、あーでもない、こうでも
ないと試行錯誤をしていました。マイケルは孤児だったところをハ
ウルの弟子にしてもらったそうです。そのため、マイケルはハウル
に対する忠義心だけは豊富でした。
 マイケルはあまりにも呪文が難しいので、ソフィーに相談しまし
た。ソフィーにも意味不明だったので二人で悩み、そして、「流れ
星を捕まえに」行くことにしました。流れ星はポートヘイブンの湿
原で捕まえられるとのこと。早速、七リーグ靴で向いましたが、流
れ星は捕まることを嫌がりました。自ら、湿原に落ちてその生命を
絶ったのです。マイケルは悲しい結末に嫌気がさして、城に戻りま
した。


 第10章 聞きのがしたヒント

 次の日、ハウルとマイケルは出かけ、ソフィーが一人で留守番を
して、せっせと呪文を売りました。中には、「決闘に絶対に勝てる
呪文」などというのを求めた若者がいたので、トウガラシの粉を売
りつけました。
 ハウルは帰ってくると、自分が陥っている悲劇について語りまし
た。なんでも王様に荒野の魔女を倒してくれといわれたそう。ハウ
ルはソフィーを祖母に仕立てて、王様に「ハウルはだめ」と言わせ
ようとしました。マイケルの難しい呪文はどうやら呪文ではなく、
「黒の扉の向うの世界」から来たものだったようです。ハウルはそ
の先をしきりに気にします。またマイケルに流れ星を捕まえないよ
うにと釘をさしました。何でも昔ハウルは流れ星を捕まえたことが
あり、ろくでもないことになってしまったからだそうです。


 第11章 甥っ子の宿題

 黒の扉の向うの世界はソフィーたちの世界に比べ、ずいぶん風変
りな世界でした。ウェールズというらしいのです。そこにはハウル
の家族が住んでいました。マイケルがやっていた難しい呪文はこの
世界の「詩」の一部のようでした。ハウルが与えた呪文と「詩」が
入れ替っていたようなのです。
 ハウルはその宿題を出したアンゴリアン先生の元に向います。ア
ンゴリアン先生はとても美しい人でした。一目見ただけでレティー
への思いなど忘れてしまうのではと思えるほどでした。アンゴリア
ン先生は呪文を返してくれ、そして、ハウルが気にしていた詩の続
きを読みます。ハウルは気付きました。その詩は荒野の魔女の呪い
だったのです。

 さてこれで原作ハウルの「承」が終ります。
 長々と読返して見ると、城に入ったソフィーが、カルシファー、
マイケル、ハウルたちと次第に打ち解けていく様子が見えてくるで
しょうか。数々の魅力的なエピソードを入り乱せながら、ハウルの
秘密が次々と明らかになっていきます。その秘密が明かされる度に、
ソフィーはハウルと深く関与しなければならなくなっていきます。
これはハウルやマイケルやカルシファーも同様です。そんな過程を
ジョーンズお得意のどたばたで仕上げているのが、この原作ハウル
の「魅力的で卓越した承」なのかも知れません。この絡み合う糸が、
楽しいのか大変なのかよく分らない日々の中、次々と紡がれていき
ます。この辺りはジョーンズの真骨頂なのでしょう。

 次にくる「転」「結」と比べても、この「起」「承」の巧みさは
明らかです。
 そんな幸せで楽しい時間も、ついに終るときが来ます。
 ハウルが荒野の魔女の呪いをかけられたのです。


 ■原作ハウル 転

 第12章 王様に会うまえ
 第13章 帰り道が分らない!
 第14章 風邪を引いた魔法使い
 第15章 お葬式に行った犬
 第16章 七変化魔法合戦

 さて、原作ハウルの転ですが、この部分が極めて短く、そして焦
点がぼけ気味に進むのを、この後の要約を読むと分るかも知れませ
ん。これまでに紡いできた糸を織り始める部分なのですが、「転」
としては、物語の方向転換力があまり強くなく、どちらかと言えば、
この後、第17章から始る「結」へ向けての調整の色合がとても強い
のです。この辺りはジョーンズ作品の弱い部分かも知れません。第
二の承を生み出すほどには転が強くなく、物語が拡散の方向へ向っ
てしまっています。

 強力な転は、サッカーで言うところのスルーパスに似ています。
 それにより、ゴールまでの道のりが一発で明示され、その先に大
きなスペースがあれば魅力的なプレーが展開されますし、ゴール近
くで出されれば、即ゴールに繋がります。
 行き詰り、その解が見つかり、方向性が明示される。
 これこそが転で展開される物語の流れなのです。
 では、原作ハウルを読んでみることにしましょう。


 第12章 王様に会うまえ

 ソフィーは王様に会う前にペンステモン夫人に会うことにしまし
た。夫人はハウルの行いは悪い方向に向っているといい、ハウルの
服に女の子を惑わす呪文が織込まれていると言いました。夫人はハ
ウルと火の悪魔の契約が悪い影響を与えており、ソフィーのような
魔女ならそれを破れるというのです。夫人によればソフィーは物に
命を吹込める魔力を持っているとのこと。夫人は先の長くない自分
に代って、ハウルを更正してくれと言いました。
 夫人の家を出ながら、あることに気付きました。
 ハウルの着ている服にかけられた呪文は、ソフィーがかけたのです。


 第13章 帰り道が分らない!

 ソフィーは無事王様に会い、ハウルの悪口を言いました。しかし、
王様はソフィーの言葉を聞いて、ますますハウルが適任と思い、正
式にジャスティン王子を探し出すことを勅命しました。何でも、王
子(王弟)は軍事の天才で、インガリーは敵国ノーランド、ストラ
ジアと宣戦布告直前にあるようなのです。
 ソフィーは諦めて帰路に着きますが、その最中で道に迷い、あろ
う事か荒野の魔女に出会いました。荒野の魔女は、ペンステモン夫
人を殺してきた所でした。何でもハウルの居場所を話さなかったか
らのようです。ちなみに、ソフィーが呪いを掛けられた理由は呪い
に必要な事を教えなかったからのようです。
 ソフィーは諦めて王様の所へ戻り、ハウルはヴァレリア王女を嫁
にもらえなければジャスティン王子を探さないと、脅しました。
 王様は困ったように言いました。
 なんたって、ヴァレリア王女はまだ赤ん坊なのです。


 第14章 風邪を引いた魔法使い

 ペンステモン夫人が殺され、荒野の魔女がハウルを探しているこ
とを聞き、ハウルたちは城を移動させる準備を始めました。その中
で、ハウルは風邪を引き、寝込んでしまいました。
 そんな所へ犬人間がやってきました。なんでもレティーに言われ
て来たようで、恋人がこの犬人間のようなのです。犬人間は、人の
姿をしたり犬の姿をしたりと形を常に変化させます。これも荒野の
魔女の呪いなのです。犬人間はハウルの城に居着くことになりまし
た。
 ハウルは熱にうなされながら、何年も前の取引のせいで誰も愛せ
なくなった、とか、死ぬかも知れないなどと泣言を言いました。ハ
ウルはどうしてもペンステモン夫人の葬式には行きたいようです。


 第15章 お葬式に行った犬

 マイケルが望んだので、犬は飼うことにしました。マイケルは<
がやがや町>に空き家を見つけました。元ソフィーの家だった帽子
屋です。ハウルは店を買ったら何を売ったらいいだろうとソフィー
に聞きました。ソフィーは花がたくさんある家を望みました。
 ハウルは犬に変身して葬式に行きました。


 第16章 七変化魔法合戦

 葬式でハウルは荒野の魔女に見つかり、激しい戦いになりました。
 戦いは痛み分けでしたが、荒野の魔女の火の悪魔のことを知るこ
とが出来ました。何百年も魔女と組んでいるその悪魔はカルシファ
ーよりは力が弱いが、年寄で物知りのようなのです。手強い相手で
す。
 ハウルは早速城を移すことにしました。


 さていかがだったでしょうか。
 この辺りの物語は「城をソフィーが住んでいた家に移す」という
事を中心に動いているのが分るでしょうか。実は、これは起・承で
乱してしまった世界を、何とか強引に「誰もがハッピー」へ持って
いく唯一の調整法なのですが(しかも、この展開で一石三鳥ぐらい
の成果を出している)、その作者の意図が隠されおり、物語も主人
公達の決断ではなく作者の調整なので、かなり焦点がぼけています。
 わたしなどは、ハウルがソフィーに、
「どんな家に住みたい?」
 と聞かれ、
「花のある家」
 と答える辺りで、その「シャドーな展開」の技量にぞっと背筋が
冷えるほどの鋭さを感じるのですが、どうやってここまで読者を連
れてきたのだろうと、慌てて展開を確かめたくなります。
 この言葉は、プロポーズです。
 ハウルは家を買います。
 マイケルが主導しているのですが、この家はハウルの家です。
 この後、二人が熱愛を始めたら、マイケルもいづらいだろうに……、
と思ってはしまいますが、まあ、そんなに後先のことまで考えられ
る人は稀なのでしょう。
 こんな展開もありなのかと思えてしまう、豪快さです。なんたっ
て、この物語では荒野の魔女さえ、「ソフィーとハウルの恋愛を描
く道具」と化しているのです。
 いやー、ジョーンズさん、そんなのは聞いたことがないですよ。
 そういう事の言える作品ですが、イコール希有な作品ということ
とも言えるかも知れません。
 ここから、物語は結へと向います。その展開を見てみることにし
ましょう。

 ■原作ハウル 結

 第17章 お城の引越
 第18章 ふたたびかかしが
 第19章 ソフィーのかんしゃく
 第20章 夏至祭の再会
 第21章 ハウルの心臓


 第17章 お城の引越

 ハウルはカルシファーをソフィーの家に移し、城の出口をたくさん
作りました。ハウルはソフィーの要望通り、その一つを荒野のお花畑
に繋ぎました。そのお花畑はサマリンが荒野の魔女の力を弱めるため
に作り、サマリンが荒野の魔女に捕まってからはハウルがその管理を
するようになったのだそうです。ハウルと荒野の魔女が出会ったのは
このときでした。
 またカルシファーの謎も解けました。カルシファーはハウルが捕ま
えた流れ星だったのです。
 ソフィー達は<がやがや町>で花屋を始めました。


 第18章 ふたたびかかしが

 ソフィーは気が晴れませんでした。せっかく念願の花屋をやって
いるのに、なにかが物足りないのです。犬人間は、実はソフィーが
助けた犬であり、荒野の魔女が連れいていたギャストンという男で
あることが分りました。カルシファーは退屈そうでした。外がどう
なっているのが見たいから、契約を破ってくれと言いました。ソフ
ィーはハウルが荒野の魔女から逃れる方法を考えるのに一生懸命に
なっているを考えて、先延ばしにしようとしました。
 ハウルの出かけ先はいつもウェールズ。
 そんなところへ、アンゴリアン先生がやってきました。先生は行
方不明のサマリンを探していて、その手がかりになりそうなハウル
に近づいていると言って城の中を詮索しようとしました。しかしソ
フィーは腹が立って、追返してしまいました。
 嫉妬でしょうか。


 第19章 ソフィーのかんしゃく

 ハウルは犬人間を見て、その呪いを見破り、破りました。犬人間
もといパーシバルは魔女に呪いを掛けられ、色々な人物の色々なパ
ーツが組合わされたのろいが掛っていました。ハウルたちはサマリ
ンやジャスティン王子かも知れないと考えました。
 パーシバルはソフィーが呪いを掛けられた理由、ハウルとレティ
ーが話していた話を教えてくれました。何でも妹たち、ハウル、マ
イケルはソフィーが呪いを掛けられていることは知っていて、とて
も心配しているようでした。レティーはソフィーは優しすぎるから、
ハウルに心臓がないことを見抜けないに違いないと言って嘆いてい
ました。


 第20章 夏至祭の再会

 夏至祭の日になりました。ソフィーはその準備を始めますが、帰
ってみると、そこにファニーがやってきました。ファニーはお金持
と再婚したよう、ファニーは一目でおばあさんになったソフィーに
気づき、心配をしました。ファニーは事情を聞き、ハウルが改心し
たのはソフィーのおかげだと言いました。そこへマーサ、そしてレ
ティーもやってきました。みんなでわいわいやっていると、そこへ
アンゴリアン先生もやってきました。先生はハウルに用があったよ
うなのですが、ハウルは二日酔いで寝ています。暇を持て余した先
生に、お花畑で暇をつぶせるように、取りはからいました。
 そのとき、ウェールズのハウルの親族に荒野の魔女襲いかかりま
した。ハウルは親族を救うためにウェールズへ行ってしまいます。
 そこへかかしがやってきました。かかしは骸骨と合体して、事情
を話し始めました。かかしはバラバラになったサマリンとジャステ
ィン王子の部品を探しているゴーレムでした。
 そこに魔女の声が響きます。
 何でもアンゴリアン先生を捕まえたので、ハウルに城に来るよう
にということのようです。


 第21章 ハウルの心臓

 ソフィーは魔女と対決をしに行きました。苦戦しましたが、かか
しが加勢し、その後ハウルの助けもあって、荒野の魔女を倒しまし
た。ですが火の悪魔が残っています。ハウルによれば、アンゴリア
ン先生が火の悪魔なのだそうです。
 城に戻って、火の悪魔と対決をしました。悪魔はハウルの心臓を
ほしがったのですが、ソフィーの活躍もあって、何とか倒すことが
出来ました。
 火の悪魔は魔法使いに心臓をもらった流れ星だったのです。
 幸いにもソフィーは命を吹込む魔力を持っています。ハウルに心
臓を戻し、カルシファーに命を吹込みました。
 魔女の呪いが解け、ソフィーは本当の姿に戻りました。二人が、
次の生活を約束しあったのは言うまでもありません。


 さて、いかがだったでしょうか。
 かなり大雑把な要約で申訳ないのですが、簡単に触れるとこんな
感じになります。終盤は要約レベルでも不整合が生じているのです
が(といいますか、強引過ぎですね)、まあ、この辺は書換えるだ
けですので、とりあえず放っておきましょう。このストーリーがプ
ロットを元にしていないことだけは断言できる理由が分るでしょう
か。プロットに起してみると、明らかに通用しないストーリーなの
です。
 言及は避けましょう。
 意味のないことです。


 ● 03 ● 映画版ハウルを書いてみる             :[ 03 ]
  ̄ ̄ ̄ ̄
 さて、やっと苦行の日々が終りました(^_^;
 こんな無駄なプロットは書くまいと心に誓う今日この頃ですが、
ここからは物語解析的にスパッとまどろっこしさなしできましょう。
 一章三行、これ以上いりません。
 21章構成を、分りやすく解説します。
 ここで用いられる構成は起承転承転結というハリウッドライクな、
構成です。
 とりあえず、これまでの解析で、導き出した物語展開がありますの
で、それをこの展開に当てはめてみましょう。

 起
 ・荒野の魔女が隣国を攻め落とし、インガリーと戦争状態になる。
 ・荒野の魔女が王女を殺すと言ったため、サマリンが出かけ捕えら
れる。

 承1
 ・戦争が始る。(戦闘シーン)
 ・この辺りから国王からハウルに打診がある
 ・キャトラック伯爵の暗躍が始り、王女が誘拐されそうになる。
 ・ペステモン夫人が駆り出される。
 ・ジャスティン王子捕まる。
 ・ペステモン夫人死す。

 転1
 ・ハウルが正式にかり出される。
 ・激しい戦争が行われ、インガリー国風前の灯火。
 ・しかし、この時点で腹心と対決し、サマリンとジャスティン王子
がばらばらになっていることに、ハウルたち気付く。

 承2
 ・ハウル探し始める。

 転2
 ・かかしとガイコツが合体して戦闘指揮が出来るようになる。
 ・かかしが軍を率いて戦闘に。
 ・腹心、かかしに負ける。このとき、荒野の魔女が火の悪魔に操ら
れていることが判明。キャトラック、とてつもなく恐ろしくなって、
改心。

 結
 ・かかしが軍勢を隣国へ向ける中、ハウル達は魔女と対決。勝つ。
 ・ついでに火の悪魔も倒して、ハッピーエンド。

 どうですか。
 もし、あの長々とした要約をいらいらと読んできた人にとっては、
「なんて、分りやすいのだろう」と言いたくなるような展開では
ないでしょうか。
 こうやって把握すると、原作ハウルは、承1までの展開をあまり
にもゆっくりと進展させ過ぎたことに気付くでしょう。世界の主役
として、ハウルが登場するのが遅すぎるのです。そのため「何をハ
ウルがやっていたのか」が全く伝わらない物語になってしまってい
ます。明らかに、主役が6人であるにも関わらず、その6人が世界
にかかわらなすぎるため、何が起っているんだかよく分らないので
す。
 6人を引きずり出してみましょう。
 しかし、障害もありそうです。なんたって、原作ではソフィーが
みんなが気付いていることを知るのがかなり遅いタイミングなので
すから。頻繁に接触していては、かなり早いタイミングで、これに
気付かれてしまうでしょう。
 そこでソフィーが90歳のおばあちゃんということにして、頻繁
に肉体的なダメージによって、接触が阻まれる形に持っていきまし
ょう。例えば、会う度に、節々が痛くて顔を下げてしまうことにし
てはどうでしょう。見ている側はいらいらするのですが、破綻なく
切抜けるには、悪い方法ではないかと思います。

 さて、では始めてみましょう。
 どうなっていくのでしょうか。

 ■映画版ハウル 起

 さて、映画版ハウルですが、まずは起を組上げてみます。先ほど
の分類では、起に必要な要素は、

 ・荒野の魔女が隣国を攻め落とし、インガリーと戦争状態になる。
 ・荒野の魔女が王女を殺すと言ったため、サマリンが出かけ捕え
られる。

 という事でした。それを踏まえて、三章にしました。結構、この
辺りに入れる要素の量が多いようです。どうやらファーストシーン
のアクションは、サマリンVS荒野の魔女になりそうです。

 第1章 荒野の魔女の侵略
 第2章 帽子屋のあととり娘
 第3章 ソフィーの旅立ち

 という三章構成にします。
 プロットに落してみましょう。

 第1章 荒野の魔女の侵略

 荒野の魔女が隣国のストラジアへ侵略を開始しました。インガリー
王の元にも王女を殺すとの脅しが届き、サマリンが隣国の支援に向
いました。荒野の魔女とサマリンは戦いますが、魔女に破れ、捕
まってしまいました。隣国は負けてしまいます。隣国の腹心に裏切者
がいたのです。


 第2章 帽子屋のあととり娘

 ソフィーは帽子屋の三姉妹の長女として生れました。学校へ行き、
妹たちの世話をする日々でしたが、インガリー国では「荒野の魔女
戦争」が始り、宮廷魔術師のサマリンが破れるとの報が流れ、ジャ
スティン王子が軍勢を率いるとの噂がたち、いよいよ全面戦争かと
戦々恐々とした空気が流れています。
 その頃、がやがや町には動く城が現れ始め、誰もが荒野の魔女の
侵略だと思っていましたが、どうやら魔法使いハウルの城のようで
す。ハウルは若い娘たちの心臓を食らう残酷な魔法使いだとの噂で
した。
 そんなところ、ソフィーの父、ハッター氏が急死しました。残さ
れた母親ファニーは、次女のレティーをパン屋の見習いに、三女の
マーサを知合いの魔法使いの弟子に、ソフィーを帽子屋の跡取りと
し、三姉妹は別れ別れになりました。
 ソフィーは帽子屋として腕を上げていきましたが、次第に帽子以
外の話相手がいなくなりました。春になると、帽子の売行きはよく
なり大忙しとなりました。ソフィーは夜遅くまで帽子を仕上げる日
が続き、ある時鏡を見て、オールドミスのような自分の姿に驚きま
した。
 五月祭の日、ソフィーは決心をしてレティーに会いに行くことに
しました。しかし、町の雑踏にさえ怯える始末、若者にナンパされ
かかり、慌ててレティーのパン屋に逃込みました。レティー持前の
美貌がすでに大人気で、パン屋は大繁盛でした。しかし、レティー
と思って話すと、魔法使いに弟子入したはずのマーサが言いました。
 「驚かないでね、わたし、マーサよ」


 第3章 ソフィーの旅立ち

 マーサはレティーと魔法で入れ替っている事を告白し、ソフィー
が継母のファニーにこき使われているといいました。ソフィーはフ
ァニーに対する疑念を抱きながら帰りましたが、帰っても仕事が上
手く行きません。お客さんには口げんかを吹っ掛ける始末です。そ
んな所に見るからに大金持ちな上品なお客様が現れました。帽子を
勧めるソフィーを相手にせず、冷淡にこう言いました。
「ハウルに近づくとどうなるか思い知るがいい」
 そのお客様はなんと荒野の魔女で、ソフィーに恐ろしい呪いをか
けたのです。ソフィーは90歳のおばあちゃんとなり、家にいるこ
とが出来なくなり、旅立つこととしました。行くあてなんてありま
せん。
 丘を上ると、かかしが捨置いてありましたのでしっかり立てて上
げました。犬がロープに結ばれて苦しんでいたので逃してやりまし
た。上手い具合に杖が落ちていたので、それを拾って歩きました。
 丘を登ると日が暮れてきました。もう辺りは寒くなり始め、暖か
い暖炉が欲しくなってきました。がやがや町に帰ろうとすれば真夜
中になるはずです。そのとき、ハウルの動く城が見えました。どう
やら呪いはハウルに関する呪いのようです。ソフィーはあわててそ
れに近づき「止れ!」と大声を上げました。城は止り、ソフィーは
ほっと一息つきました。

 どうでしょうか。スマートです。

 ■映画版ハウル 承1

 さて、この辺りから物語の組替えが始ります。忠実に守る要素は
次の流れです。

 ・戦争が始る。(戦闘シーン)
 ・この辺りから国王からハウルに打診がある
 ・キャトラック伯爵の暗躍が始り、王女が誘拐されそうになる。
 ・ペステモン夫人が駆り出される。
 ・ジャスティン王子捕まる。
 ・ペステモン夫人死す。

 これに合わせながらな不整合のないように組立をしていきましょう。
 この動きに合う章を原作ハウルより抜出してみましょう。

 第3章 魔法使いハウルの城
 第4章 ひねくれ者の火の悪魔
 第5章 掃除、掃除、掃除
 第6章 不機嫌なハウルの緑のねばねば
 第12章 王様に会うまえ
 第13章 帰り道が分らない!

 こんな感じでしょうか。
 これを元に章立てを組んでみましょうか。原作の分析では、転に
入る章がありますね。しかし、王様のような偉い人に会うといった
ようなことはこの新しい展開では承に含まれそうです。

 第4章 魔法使いハウルの城
 第5章 ひねくれ者の火の悪魔
 第6章 キャトラックの暗躍(新章)
 第7章 掃除、掃除、掃除
 第8章 不機嫌なハウルの緑のねばねば
 第9章 ペンステモン夫人の出陣(新章)
 第10章 王様に会うまえ
 第11章 ヴァレリア王女避難作戦(大幅改変 旧帰り道が分らない!)


 第4章 魔法使いハウルの城

 ソフィーは無事ハウルの城に潜り込みました。ハウルは不在のよ
うで、その弟子であるマイケルがいたのですが、老人になって図々
しくなったソフィーは、マイケルを丸め込んで居座りました。マイ
ケルは荒野の魔女の手先に手を焼いているようです。もうすぐ、こ
こも戦場になると言いました。
 部屋には暖炉がありました。
 ここに火の悪魔であるカルシファーがいたのです。
 カルシファーはソフィーの呪いを見抜きました。しかし、解くに
は時間が掛るというのです。代りにカルシファーは自分とハウルの
間の契約を破ってくれと言いました。カルシファーは城にとどまる
ことを望みます。ソフィーはカルシファーと協力して、城に居座る
方法を考え始めました。


 第5章 ひねくれ者の火の悪魔

 翌朝目覚めたソフィーが城を探検し始めると、それは狭く汚い城
でした。ソフィーはカルシファーとの契約を楯に、いやがるカルシ
ファーを従わせて朝食を作り、そこへハウルが帰ってきました。ハ
ウルはそれに驚きましたが、ソフィーとまともに取合おうとしませ
ん。
 ソフィーがあれこれ質問すると、どうやらハウルは悪い魔法使い
という訳ではないようでした。何でも、わざと悪く見せているとの
こと。その動く城自体も魔法で大きく見せているだけで、ちっぽけ
な小屋であることが分りました。しかし、魔法の扉が色々なところ
に繋がっていました。
 王様がいるキングスベリーはその一つです。
 王様はハウルが戦争をする兵士のために七リーグ靴を作ってくれ
たことに感謝し、ハウルに褒美を与えました。ハウルはサマリンの
代りをする魔法使いとして、働くように要請されていました。


 第6章 キャトラックの暗躍

 インガリー国の宮廷では戦争の準備が始っています。ジャスティ
ン王子が腹心のキャトラック伯爵とともに、軍備を整えます。しか
しキャトラックは裏切っていたのです。キャトラックは荒野の魔女
の高貴な思想に心酔しているのです。キャトラックは荒野の魔女に
インガリー国の状況を報告し、シーンが荒野の魔女サイドに移りま
す。キャトラックの話を聞き、魔女は腹心に戦争の準備をするよう
にいいます。腹心は自国の住民が化物軍団にされても何とも思わな
い下劣な人間です。喜んで、準備を始めます。
 そして思い出したように、魔女はキャトラックに言います。怪物
軍団を貸すから、ヴァレリア王女を捕まえてくるようにと。キャト
ラックは、命に服しますが、通話を切った瞬間、荒野の魔女が突然
乱れ、残忍な火の悪魔が腹心に向って言います。インガリーを焼払
え、全てを炎で包込みのだ! 腹心はにやにや笑います。

 第7章 掃除、掃除、掃除

 ソフィーは城中を掃除し始めました。マイケルやカルシファーは
嫌がりますがそんなのお構いなしです。どうやら、魔法の扉はポー
トヘイブンにも繋がっているようでした。薬をもらいにきた女の子
に、わたしは魔女だというとその噂はあっと言う間に広がり、ハウ
ルの城は贈物で一杯になりました。
 掃除を始めると色々な事が分りました。ハウルが外出するのは女
の子を追いかけているからでした。今度の娘さんには時間が掛って
いるようでした。マイケルにもどうやら恋人がいるようです。
 ハウルの部屋と庭を掃除しようとするとハウルが立ちはだかりま
した。口げんかをしましたが、ハウルの方が一枚上手のよう。ソフ
ィーは引下がるしかありませんでした。


 第8章 不機嫌なハウルの緑のねばねば

 王様は、ハウルを宮廷魔術師サマリンの代りにするようでした。
ハウルに次々と魔法の道具を作らせます。しかし、ハウルは幾らお
金をもらっても作りたくはありませんでした。荒野の魔女と戦うな
んてまっぴらごめんです。
 ハウルの性格も次第に分ってきました。ハウルが女の子に興味を
持っているのは恋に落ちるまで、相手が惚れたとたんどうでもよく
なって、また別の女の子を恋に落そうとするのです。何とも始末の
悪い性格です。そのためマイケルが「ハウルは若い娘の心臓を食べ
る」という噂を流さなければならないほどでした。
 ハウルは、今度の娘には大変手こずっているようでした。
 そのため非常に不機嫌で、終いには、金髪に染めてあった赤毛が
かすかに元に戻ったのを見て、大変なヒステリーを起しました。ハ
ウルは体中からヘドロのような緑のねばねばをだし、カルシファー
を消してしまうところでした。
 ソフィーは一時間かけてハウルを洗い、落着かせることが出来ま
した。
 聞いてみるとハウルは、今度の女の子と恋に落ちることが出来な
いことを大変苦にしていました。しかしどうやら、そのお相手は、
レティー・ハッター。ソフィーの妹のようなのです。
 ハウルはソフィーに、王様の言分を断るよう文句をさんざん言っ
てくれと言いました。


 第9章 ペンステモン夫人の出陣

 レティーの暮すフェアファックス夫人の家では、ペンステモン夫
人の出陣の準備に追われ、大慌てになっています。フェアファック
ス夫人はすでにレティーとマーサが入れ替っていることぐらい見抜
いていましたが、レティーの方が筋が良さそうなので、こちらを使
うことにしたのです。
 (この辺、フェアファックス家の状況をおもしろおかしく書き、
レティーの正確を掘下げる作業をする。また、犬を初登場させる。
シーン毎に別の犬が現れ、観客におやと思ってもらう)
 ペンステモン夫人の仕事は、ヴァレリア王女の避難先を確保する
ことです。夫人は、ヴァレリア王女のかくまい先をマーサの勤める
パン屋にしました。ヴァレリア王女お気に入りの店で、まさかパン
屋に王女がいるとは思えないからです。王女を乗せた馬車が準備さ
れ、そこへレティーも駆り出されます。
 そこへソフィーがやってきました。

 第10章 王様に会うまえ

 ソフィーは王様に会う前にペンステモン夫人に会うことにしまし
た。ちょうど宮廷に来ており、ハウルの師だった事を聞いたからで
す。夫人は忙しい時間を使ってソフィーに会い、夫人はハウルの行
いは悪い方向に向っているといい、ハウルの服に女の子を惑わす呪
文が織込まれていると言いました。夫人はハウルと火の悪魔の契約
が悪い影響を与えており、ソフィーのような魔女ならそれを破れる
というのです。夫人によればソフィーは物に命を吹込める魔力を持
っているとのこと。夫人は先の長くない自分に代って、ハウルを更
正してくれと言いました。
 夫人の家を出ながら、あることに気付きました。
 ハウルの着ている服にかけられた呪文は、ソフィーがかけたので
す。


 第11章 ヴァレリア王女避難作戦

 ソフィーは無事王様に会い、ハウルの悪口を言いました。しかし、
王様はソフィーの言葉を聞いて、ますますハウルが適任と思い、正
式に協力をするように言いました。
 ソフィーはあきらめて帰りますが、そこを、キャトラックの隠密
怪物軍団が襲いかかります。ジャスティン王子を中心に、防戦が始
り、ペンステモン夫人を中心とした人たちがヴァレリア王女を急い
で馬車に乗せ、マーサのいるパン屋へ、怪物軍団の追撃を振切って、
逃込もうとします。しかし、パン屋には荒野の魔女が先回りしてい
ました。
 ジャスティン王子は果敢に戦いを挑みますが、あっさり捕まり、
ペンステモン夫人は、殺されてしまいます。誰もが悲しみに暮れま
した。もう、インガリーは魔女の支配下になってしまうかも知れま
せん。


 さて、ずいぶん一気に変りましたね。元々の原作の承の部分が長
すぎるのと、転がやってくるのが遅すぎるので、かなり前倒しで話
を進めてみました。だいぶ話が面白そうになったのではないでしょ
うか。
 こんな締切り直前(正確には直後)に適当に書いているだけでも、
新しく面白いプロットなど数時間で構築出来るものですから、これ
ぐらいはがんばって欲しいところです。
 ようやっと半分が描けました。
 残りの半分をさっさと書いてしまうことにしましょう。


 ■映画版ハウル 転1

 では、転1を始めましょう。ここで守ることは、

 ・ハウルが正式にかり出される。
 ・激しい戦争が行われ、インガリー国風前の灯火。
 ・しかし、この時点で腹心と対決し、サマリンとジャスティン王
子がばらばらになっていることに、ハウルたち気付く。

 と言う部分です。だいぶ新章を作らなければならなそうですね。
しかし、結構章数も押していますので、圧縮気味に、原作の章を生
かすことにしましょう。この章で大切になるのは、パーシバルの早
期投入です。原作はパーシバルの登場が遅すぎて、致命的な遅延が
起るのです。半分ぐらいでいいでしょう。投入します。
 関係のありそうな、使えそうな章は次の通りです。

 第7章 かかしの恩返し?
 第14章 風邪を引いた魔法使い

 え? これだけと思われてしまいそうですが、これだけです。
 かかしが若干遅すぎる感もありますが、パーシバル投入と併せて、
「なんか臭い」と匂わせるのが得策でしょう。原作は「ウォーリー
を探せ」みたいな内容になってしまっているのですが、ここはま
とめて投入しましょう。もしかすると、若干早くかかしを投入する
方法もあるのかも知れませんが、このわたしの作っている映画版は、
かかしが軍隊を指揮するという重要なポイントを控えていますので、
ジャスティン王子の消失と同時に、かかしを投入します。

 第12章 かかしの恩返し?

 ジャスティン王子を失った国王は、ハウルに正式に宮廷魔術師に
なるように説得します。ハウルはいやがりますが、魔女がハウルの
城に攻勢を掛けてきたので、しぶしぶ防戦をせざる終えません。
 そこへ、かかしが紛れ込みます。一時は荒野の魔女の手下かと思
われたのですが、どうもサマリンの臭いがするのです。ハウルは仕
方なく、それが城にいることを許しました。かかしはあてどなく城
を歩き回りますが、何を考えているのか分りません。
 夕方になるとマイケルが喜んで帰ってきました。なんでも「<チ
ェザーリ>の店にいるレティー・ハッター(マーサ)は、ハウルな
んかとはあったことがない」という事が分ったからだそうです。な
んと、マイケルはマーサと結婚の約束までしていたのです。ソフィ
ーは少し安心しました。しかし、レティー・ハッターはもう一人い
るのです。
 ハウルはうなだれて帰ってきました。どうやら王様にジャスティ
ン王子の捜索の命令を受けさせられそうなのです。ハウルはいやが
っていました。ハウルは昔、荒野の魔女を恋に落した事があり、そ
のせいで呪いをかけられそうになっているからなのだそうです。ジ
ャスティン王子は荒野の魔女の所にいそうなのです。
 前線では、ジャスティン王子を失ったインガリー国は敗戦を続け
ています。魔女がインガリーに攻込むのは時間の問題です。

 第13章 犬人間の呪いを解く

 ペンステモン夫人が殺され、荒野の魔女がハウルを探しているこ
とを聞き、ハウルたちは城を移動させる準備を始めました。
 そんな所へ犬人間がやってきました。なんでもレティーに言われ
て来たようで、恋人がこの犬人間のようなのです。犬人間は、人の
姿をしたり犬の姿をしたりと形を常に変化させます。これも荒野の
魔女の呪いなのです。犬人間はハウルの城に居着くことになりまし
た。
 ハウルはその犬人間が魔女の呪いに掛っていることに気付きます。
パーシバルの話を聞き、ハウルは何となく真相が分ってきました。
その城に腹心の大軍勢が襲いかかりますが、なんとかハウル達は切
抜けました。腹心はうっかりと口を滑らせ、サマリンとジャスティ
ン王子はばらばらになっているから、もうにどと戻ってこないと教
えます。
 ハウルは考えます。
 城を動かすこと、そしてジャスティン王子に軍勢を率いてもらう
ことが必要だと言うことです。

 はい、いかがでしょうか。かなりあっさりな転ですが、大きく物
語の方向性を変えることが出来ました。では承2につなげてみまし
ょう。

 ■映画版ハウル 承2

 さて、ここから第二の承が始りますが、承の鉄則として、「舞台
が広がる」もしくは「新たな要素の登場」というものがあります。
ジョーンズはこの承を支える画期的な道具を残してくれました。
 七リーグ靴です。
 移動手段の登場は承に繋がりやすいのですが、まさに、これがそ
れに当ります。
 第二の承を見てみましょう。

 ・ハウル探し始める。

 なんと。すばらしくマッチした道具です。こんな展開になるでし
ょう。ハウルは散らばったサマリンとジャスティン王子を探し始め
るが、それを手伝おうとするマイケルとソフィーがはちゃめちゃな
展開を巻き起す。
 簡単に書いてみることにしましょう。


 第14章 七リーグ靴の歩き方

 次の日、ハウルはレティーのいるファエファックス夫人の住む<
上折れ谷>へ向いました(本当は相談のため)。ソフィーは何とか
ハウルの後を追おうとします。マイケルに邪魔をされましたが、
訳を話すと、協力してくれました。
 七リーグ靴を使おうと言うのです。
 二人は七リーグ靴を履いてさんざんな目に遭いましたが何とか<
上折れ谷>に辿り着き、ハウルとレティーが二人で話している所に
出くわしました。夫人の話では、ハウルであることは分っているこ
と、そしてレティーとマーサが入れ替っていることもお見通しでし
た。
 夫人は、ハウルとレティーが一緒になることを後押ししていると
の事。何とも困ったおばちゃん魂です。ですが、レティーには別に
好きな人がいて、あの犬人間でした。

 第15章 手強い呪文に手こずるマイケル

 ソフィーはレティーがハウルに狙われていると思い、気分がふさ
ぎました。
 マイケルは難しい呪文に挑戦しており、あーでもない、こうでも
ないと試行錯誤をしていました。マイケルは孤児だったところをハ
ウルの弟子にしてもらったそうです。そのため、マイケルはハウル
に対する忠義心だけは豊富でした。
 マイケルはあまりにも呪文が難しいので、ソフィーに相談しまし
た。ソフィーにも意味不明だったので二人で悩み、そして、「流れ
星を捕まえに」行くことにしました。流れ星はポートヘイブンの湿
原で捕まえられるとのこと。早速、七リーグ靴で向いましたが、流
れ星は捕まることを嫌がりました。自ら、


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世界情勢を俯瞰してみる
「ハウル──ペンステモン」ラインを再構築する前に
プランA
結局どうだったの? 映画版ハウル
原作ハウルを21章じたてのプロットにまとめてみる
ソフィーは、世界背景をあまり見ていない
一応原作を確認しておく
実は表現力に左右される!
殺しては行けない部分を探す
ハウルのプロットは映画には不向き
宮崎駿監督「魔法使いハウルと動く城」を原作からつくっちゃおう!